国際・政治

データで大解剖!BRICS+6の存在感 対木さおり

 BRICSに新たに6カ国が加わる。世界の経済や人口にどんなインパクトがあるのか、図解で示した。

>>特集「知らないとまずいBRICS+6」はこちら

 BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)に新たに6カ国(アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦=UAE)の新規加盟が決まった。この「BRICS+6」の経済的な影響力を、世界のGDP(国内総生産)に占めるシェアで国際的に比較してみよう。名目GDPの米ドル換算ベースでは、2010年代前半にすでに欧州連合(EU)を超えている(図1)。

 国際通貨基金(IMF)のデータによれば、中国とインドによるけん引もあり、21年時点では11カ国で28.4%と3割弱を占める経済規模に拡大した。BRICS+6は今後も高い成長率が見込まれており、IMFの予測では28年までに、G7(主要7カ国)のうちEU加盟国以外の日・米・英・カナダ4カ国合計に迫り、世界シェアで3割超の経済規模となることが見込まれている。

 ただ、名目米ドルベースでは為替レートの変動による影響が大きいうえ、各国の物価水準の違いなどが反映されず、先進国とBRICSなどの新興国の価格差を比較するのは難しい面がある。そこで、ある国で一定の価格で買える商品が、他国で換算するといくらで買えるかを示す理論的な交換レート、すなわち購買力の比率で比較することも、長期的な経済規模を考えるうえで参考になる。

 この購買力の比率を「購買力平価」(PPP)と呼び、PPPベースで計算したGDPの比較では、BRICS+6はすでに00年代、EUを凌駕(りょうが)していた(図2)。また、10年代半ばには世界経済の3分の1を占める規模に到達し、G7を上回っていた。今後も経済規模の拡大が続き、28年には世界シェアの38%超にまで成長することが予想されている。

各国で高い輸入依存…

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