インタビュー「西側でもBRICSでもない立場こそアフリカの得策」吉田敦・東洋大学経済学部教授
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「グローバルサウス」の国々が集まるアフリカ。経済状況に詳しい専門家に話を聞いた。(聞き手=浜田健太郎・編集部)
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── 今年8月に南アフリカで開催されたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国で構成)サミットで、アフリカからエチオピアとエジプトが加わることが決まった。アフリカ経済の専門家としてどう受け止めたか。
■エチオピアとエジプトがBRICSに加わることはアフリカ研究者にとっても意外な面がある。両国で共通する点といえば、人口がともに1億人を超えており、労働と消費の両市場としても一定の経済規模がある。エジプトはアフリカというよりも、中東・北アフリカの盟主であり、サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)とのつながりだろう。近年、沖合で非常に大きなガス田が発見されている。
また、エチオピアは年率8~10%の非常に高い経済成長を続けている。ただ、エネルギーや鉱物などの資源はほとんどなく、コーヒー豆の栽培などの農業が基盤の国。1人当たりGDP(国内総生産)は900~1000ドル程度と非常に貧しく、アフリカの平均よりも低い。
── エチオピアは成長性を期待されての加盟だろうか。
■中国はエチオピアに積極的に投融資を行ってきた。中国企業が首都アディスアベバから紅海に面した隣国ジブチまでの全長781キロメートルの鉄道の電化工事を行い、2016年に完成させた。エチオピアは人口が多くて貧しく、外資をテコに経済成長を狙っており、労働集約的な産業の開発に熱心だ。
例えば、切り花を作るインド企業は、当初はケニアに拠点を作っていたが、エチオピアにも進出した。バラはケニア産に続いてエチオピア産が日本に輸入されている。ケニアよりもさらに安い労働力を使って、農加工業や繊維・皮革産業といった軽工業に投資できる国として注目されている。
中国の存在感
── 中国による新興国向けの投融資は「債務のわな」とも指摘されるが、アフリカでは実際のところはどうなのか。
■アフリカ研究者の間で評価が分かれる点だ。ただ、中国はウィンウィン(相互利益)を強調…
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週刊エコノミスト
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