国際・政治 特別リポート
イスラエルvs.ハマス 第5次中東戦争に突入か 福富満久
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世界に衝撃が走った。パレスチナとイスラエルが事実上の戦争状態に入ったからだ。アラブ諸国を巻き込む懸念も強まる。
パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが10月7日に行ったイスラエルへの大規模攻撃以降、イスラエルとパレスチナ双方の死者は、合わせておよそ4000人に達している(10月16日時点)。レバノンからのイスラエルへの攻撃も報じられており、状況は悪化の一途をたどっている。ハマスは、イスラエルの空爆で集合住宅200棟以上が倒壊したことへの報復として、イスラエルの都市テルアビブに向けて計4000発以上のロケット攻撃を行ったとみられている。
米国など西側諸国はパレスチナによる攻撃を非難し、イスラエルへの支援を表明。バイデン米大統領は、「イスラエルには自国を防衛する権利がある」と述べたうえで、「イスラエルを全面支援する」とし、レバノンのイスラム原理主義組織ヒズボラを支援するイランなどをけん制した。イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスを地上から抹殺する」としており、地上戦になるのではないかと世界中が危惧している。
世界最大の監獄
ハマスによるイスラエルに対する大規模攻撃の理由は何か。
その背景にあるのは、貧困への憤りとパレスチナ人が長らく感じてきた「屈辱」の問題が挙げられる。ハマスは今回の攻撃について、イスラエルがヨルダン川西岸地区へ入植を続け、さらに子供を含むパレスチナ人、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人への攻撃をエスカレートさせていることが原因だとしている。特にガザ地区は、イスラエルからハマスの本拠地として厳格に管理され、屋根のない「世界最大の監獄」とも呼ばれてきた。長さ40キロ、一番広い幅で14キロほどの細長い領域に200万人が封鎖生活を余儀なくされており、人口密度の高さは世界有数で、貧困率や失業率も高い。
世界銀行(2022年)によると1人当たり所得は、パレスチナ西岸地区で4458ドル(約66万円)、ガザ地区はその3分の1以下の1257ドル(約19万円)、対してイスラエルは5万4660ドル(約809万円)で、ガザとは実に43倍以上の開きがある。失業率はパレスチナの西岸地区18%、同ガザ地区42%、イスラエル4%。幼児死亡率(1000人当たり)は、西岸地区14.6人、ガザ地区17.1人、イスラエル3.5人とイスラエルと比べて格段にパレスチナの数値が悪い。輸出産業もなく、観光客なども入ることができないため外貨獲得手段はない。2人に1人が難民で国際機関からの援助金で生きながらえている状況だ。
アブラハム合意
パレスチナをさらに悲惨な状況に追い込んだのが…
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週刊エコノミスト
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