インド経済は内需主導で成長率6%台、インフレ率5%台 斉藤誠
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インド経済は、堅調な内需を支えに底堅い成長が続きそうだ。
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インド経済はモディ政権が発足した2014年から平均して6%近い成長が続いている。19年には金融セクターの信用不安、20年には新型コロナの感染拡大により景気が急速に悪化したが、景気対策と社会経済活動の正常化により立ち直りは早かった。
昨年10〜12月期以降、アジア地域は世界経済の減速や資源価格の下落により輸出が低迷して景気減速傾向にあるが、経済の貿易依存度が低いインドは外需の逆風が限定的であり、内需を中心に底堅い成長が続いている。
23年4〜6月期の実質GDPは前年同期比プラス7.8%となり2四半期連続で加速した。主に総固定資本形成(同8.0%)が好調だ。23年度国家予算では資本支出が前年度比37.4%増の10兆ルピーに拡充されるなどインフラ整備が進んでおり、公共投資が経済躍進の主役となっている。また民間消費(同6.0%)は前期の同2.8%から回復した。インフレ鈍化による家計の実質所得の増加やインド準備銀行(RBI)の利上げサイクル停止を受けて消費行動が活発化した模様だ。
先行きのインド経済は当面の輸出低迷に食品インフレが加わり7〜9月期に鈍化するものの、その後は内需主導の成長が続き、実質GDPは23年度がプラス6.1%、24年度が同6.4%と底堅く推移する見通しである。
7〜8月は天候不順の影響でトマト価格が急騰するなど食品インフレが加速したが、政府の価格抑制策や供給の改善により9月に入って食品価格は落ち着きを取り戻した。9月の消費者物価上昇率は前年同月比5.0%(7月は同7.4%)と低下しており、民間消費は大幅な落ち込みには至らないだろう。
インフレは5%台で安定
また先行きのインフレについてRBIは5%台での安定した推移を予測している。米国の利上げ局面の終了を受けて来年半ばまでにRBIが小幅の利下げを実施するとみられ、来年後半は借り入れコストの低下が内需の下支えとなりそうだ。
積極投資が続く公共投資に加えて民間投資の拡大も景気の下支えとなるだろう。ここ数年は米中対立を背景に…
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週刊エコノミスト
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