新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

投資・運用 2024年に上がる株

地域シェアの高い地銀も注目 利上げで恩恵を受ける金融株10銘柄はこれだ! 戸松信博

金利が上昇する中、メガバンク株に熱視線が送られている
金利が上昇する中、メガバンク株に熱視線が送られている

 世界的に加速するインフレと金利上昇は金融セクターに追い風。2024年は中でも銀行株に注目だ。

>>特集「2024年に上がる株」はこちら

 2024年に銀行株は特に注目されるだろう。

 日本の銀行株はこれまで安値で放置されてきた。銀行は短期金利で預金などの資金を集めて、長期金利で法人などに資金を貸し出す。このため、長期金利と短期金利の差(ネットインタレストマージン=NIM)が銀行の収益率に大きく影響する。

 当然、景気が加速する見通しとなれば、長期金利が上昇して、NIMは拡大する。日本は適切な財政政策が取られておらず、消費が盛り上がらずに景気が悪いため、ほぼゼロ金利の状況が長期間にわたって続いてきた。しかし、ここに来て状況が変わりつつある。

 現在の日本では景気が良くないのにインフレが進んでいる。需要拡大が物価を上げる形の「ディマンドプルインフレ」ではなく、輸入品の物価が上がるなどしてコストが上昇する形で物価が上昇する「コストプッシュインフレ」である。実感として物価が、かつて経験した覚えのないほど上がり続けていると感じられるのが、多くの国民の感覚だろう。

 それに加えて世界的に金利が高いという状況がある。これらにより、徐々に日本の長期金利は上昇している。需要が拡大しているわけではないから、政策金利(短期金利)の引き上げにつながるかどうかは不明だが、長期金利の上昇やマイナス金利の解除は銀行にとって大きなプラスである。

 銀行の中でも特に注目したいのはメガバンクだ。メガバンクはこの低金利の中でも近年、1兆円前後の経常利益を生み出しており、今後、長期金利が上昇するとなればなおさら業績は良くなる。利益倍増も不可能ではない。

 実際のところ、日銀の金融政策、長短金利操作の再修正を受けて長期金利が上昇しており、11月の主要行の住宅ローン固定金利(優遇前の基準金利)は0.10〜0.15%引き上げられ、10〜12年ぶりとされる水準となった。12月以降もさらに上昇していく可能性が高く、銀行の収益はこれから拡大していくことが期待できる。

株価はまだまだ割安

 すでにメガバンクの平均株価はリーマン・ショック後の高値だった15年の高値を上に抜けたところだが、長期的な株価推移を俯瞰(ふかん)すれば、まだ06年の高値の半分少しで、1989年の最高値は今より5.6倍も高い水準である。日立製作所の株価もそのようにして今年バブル最高値を超えてきた。16年に2000円だった日立株がまさか1万円を付けるまで上がるとは、当時誰も考えなかっただろう。それと同じで、銀行株が今から2〜3倍になると言えば誰も信じないかもしれない…

残り1291文字(全文2391文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事