投資・運用

筆頭はBYD 中国・アジアの注目10銘柄はこれだ! 富岡浩司

ジャパンモビリティショー2023でEV「シール」を紹介するBYDオートジャパンの東福寺厚樹社長
ジャパンモビリティショー2023でEV「シール」を紹介するBYDオートジャパンの東福寺厚樹社長

 中国経済は2024年に底入れする可能性が出ている。電気自動車などの製造業に注目したい。

>>特集「2024年に上がる株」はこちら

 米長期金利は10月に入って急低下した。この傾向が続けば、アジア諸国の通貨や株式への買いは勢いづく。また、中国の景気は近く底入れし、株価の反発が見込まれる。韓国や台湾が得意とする半導体産業の景気循環は回復に向かうだろう。それらの見通しから、2024年のアジア株相場には楽観できる材料が少なくない。ただし、景気回復の勢いは総じてさほど強くないと考えられることから、株式投資をするには技術力のある製造業を選びたい。

 筆頭に挙げたいのは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車に強い中国自動車大手の比亜迪(BYD)だ。車載電池を自ら開発・生産し、他社より素早く事業を展開できる点が特徴だ。

 世界162カ国の自動車販売データを集約する情報サイト「フォーカス2ムーブ」によれば、BYDの乗用車販売台数は1~9月、前年同期比51.3%増の約173万台に上り、ブランド別で世界11位だった。伸び率は全ブランドで最高だったという。また、10月30日付の『日本経済新聞』電子版は7~9月に日産自動車の乗用車販売台数にBYDが並んだとし、「10~12月の販売台数はBYDに逆転を許す可能性がある」と伝えた。

 第2位株主は米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイ(11月上旬現在の保有比率は約9%)。同社は22年8月以後、BYD株をたびたび売却しており、株価の重しとなる場面もあった。ただ、保有比率の低下に伴い、市場の警戒感は後退するだろう。

回復する中国教育大手

 新東方教育科技集団は中国の教育サービス大手。学習塾事業が主力だったが、21年に撤退を余儀なくされた。習近平指導部が同年、「保護者の負担を軽減する」などとして義務教育段階の生徒・児童向け学習塾の非営利化を通知したからだ。株価は同年高値の199香港ドル(約3800円)から22年には8.4香港ドルまで急落した。

 同社は教える内容を留学・資格試験の準備や、小中学生向けの演劇、音楽、美術に変えることで生き残りを図った。8月末の学習拠点数は前年同期より87カ所多い793カ所に増えた。6~8月期の受講者数は48.3万人に上った。株価は今年11月上旬現在、60香港ドル台に回復している。

 満幇集団は中国のトラック配車サービス大手だ。スマートフォンのアプリで荷主と運転手を結びつける仕組み。同社のアプリを使った荷主は4~6月期、月平均約200万社、取扱件数は4020万件に達した。24年、政府による景気対策が奏功して生産活動が回復すれば物流需要は高まるだろう。

 携程集団は中国のオンライン旅行会社大手。中国内のホテル予約件数は4~6月、前年同期比170%増となり、19年同期を60%上回った。ただ、…

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