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メガバンクと大手製造と宇宙開発 脱デフレの注目10銘柄はこれだ! 和島英樹

低PBRの改善に期待(ホンダの三部敏宏社長)Bloomberg
低PBRの改善に期待(ホンダの三部敏宏社長)Bloomberg

 適度なインフレは、日本経済の正常化に強い追い風だ。大手企業の収益性改善にも期待したい。

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 2024年の株式市場の最大のテーマは「デフレからの脱却」と考えている。既に食料品などの値上げが相次ぎ、インフレ気味の指標も相次いでいる。ただ、10年国債の利回りは上昇してきたとはいえ、依然として0.9%台にとどまっている。消費者物価指数(食料およびエネルギーを除く総合)は1997年付近をピークに下落に転じた。以降、モノがp売れず企業業績が悪化し、賃金が低下するデフレスパイラルに陥った。いわゆる「アベノミクス」の効果もあり、悪循環がようやく解消してきている。

 ここにきて賃金が上昇し、円安もあって製造業の国内回帰の動きも鮮明化しつつある。経済の正常化で資金需要が拡大する中での金利上昇は好材料となる。経済低迷で資金需要が減少し、マイナス金利によって利ザヤが消失した金融機関の業績が回復することが予想される。特に海外でもビジネスを展開している三菱UFJフィナンシャル・グループをはじめとしたメガバンクに妙味があろう。また、異常な低金利で運用難に陥っていたT&Dホールディングス、東京海上ホールディングスなど保険会社にも金利の上昇は追い風になろう。

 また、東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの是正を求めている流れはさらに加速する見通しだ。PBR1倍ばかりが喧伝(けんでん)されてきたが、この実質はROE(株主資本利益率)の改善であり、資産の効率的な活用だ。東証のプライム市場のみならず、スタンダード市場上場企業でも人ごとではない。特に日本を代表する企業で、解散価値を下回るPBR1倍割れの企業にはプレッシャーがかかり続ける。代表例を挙げれば日本製鉄、ホンダ、三菱ケミカルグループ、オリックス、ENEOSホールディングスなどだ。

日本の宇宙開発元年に

 また、今年は日本にとって宇宙開発元年になる可能性がある。23年9月に日本初の月面着陸を目指す探査機「SLIM(スリム)」、X線天文衛星「XRISM(クリズム)」を搭載した国産の「H2A」ロケットが打ち上げに成功した。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は10月1日にSLIMが地球周回フェーズから月遷移フェーズへの移行を完了したと発表している。月面着陸の日程は未定だが、24年1〜2月ごろに着陸に挑戦するも…

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