阪神日本一で株価急騰の予感 経営力の注目10銘柄はこれだ! 藤本誠之
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前回、阪神タイガースが日本一になった1985年の翌年に株価は43%も上昇した。夢の再来に投資家の期待が高まる。
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プロ野球の阪神タイガースが今年11月、18年ぶりにセ・リーグで優勝、日本シリーズではオリックスとの激闘を制し、38年ぶりに日本一に輝いた。株式市場の関係者の間では、阪神優勝の翌年には、株式相場が上昇するというアノマリー(経験則)があることが知られている。タイガースがリーグ優勝した2003年の翌年の日経平均株価は7.6%上昇、06年は6.9%値上がりした。そして、前回日本一になった1985年の翌年、86年には42.6%と大幅に上昇。その後の、バブル経済の導火線ともなった。まずは、熱狂的なファンが多い関西のムードを一段と盛り上げるのは間違いない。また、関西経済はインバウンド(訪日客)ブームの影響がとりわけ大きい。阪急阪神ホールディングス(HD)では、同社傘下の百貨店で土産物を買い、傘下の電鉄に乗って観光地に出かけ、同社の業績を後押しする。24年3月期営業利益の会社予想は前期比11.6%増だ。
日本全体でも、政府が5月、新型コロナウイルス感染症を感染症法上の5類に移行してから景況感が改善している。消費が活発になり、訪日客が大量に入国していることでサービス業の業績が急回復している。円安が進み、サプライチェーン(部品など供給網)の問題が解消したことで、製造業の好業績も期待できる。トヨタ自動車は11月1日、本業のもうけを示す営業利益(24年3月期)の予想を従来予想の1.5倍に当たる4.5兆円に上方修正したほどだ。
人手不足と賃上げがカギに
24年のキーワードは「人手不足」と「賃上げ」となるだろう。賃上げできる企業は人を雇える。そのような企業を見極めるには「経営力」を吟味することが重要だ。経営力が光る企業を選んだ。
ユーピーアールは物流用パレットのレンタルを事業とする。物流用パレットとは倉庫などで荷物を載せる台のことだ。荷主が所有者の場合、パレットを回収する手間を省くため、トラックに積む時にパレットを外すことになり、荷積み作業に時間がかかってしまう。
そこで、荷主は同社からパレットをレンタルし、フォークリフトを使って荷物とともにトラックに積み込めば、時間を節約できる。同社は運転手不足の「2024年問題」解消の切り札になり得るとして利用促進に力を入れている。23年8月期営業利益は前期比56%増と好調だった。24年8月期も同24.1%増と予想している。
ナレルグループは7月に東証グロース市場に上場したばかりの人材派遣会社だ。人手不足が深刻な建設業向けに施工管理業務やCAD(コンピューターによる設計)オペレーターなどの技術者を派遣する。建設業の経験がない若者を積極的に雇い、5〜10年で一人前の技術者になるよう研修する仕組みだ。その後、数年たつと派遣先に転籍することが多い。採用や社員研修が十分できない建設業にとって、同社がそれらの業務を代行する効果を発揮している。
同業のオープンアップグループも建設業向けに施工管理業務やCAD…
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週刊エコノミスト
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