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香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏インタビュー:「香港の民主化は全然遠い、何が必要か、ちょっと答えがない」
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香港メディアは12月28日、香港警察が香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏に対し、12月28日までに警察に出頭せず、保釈条件を破ったとして、逮捕する方針だと報じた。
周氏は、2014年に起こった香港の民主化要求デモ「雨傘運動」で象徴的存在となり「香港の民主化の女神」としても知られる。19年6月に行った逃亡犯条例に関する抗議活動を理由に、同年8月30日に公安条例違反で逮捕され、20年8月6日には香港の裁判所で有罪判決を受けた。そして、4日後の8月10日には今度は香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑で逮捕された。公安条例違反の有罪判決で同年11月に収監されたが、禁錮10カ月の判決に対し、模範囚であった彼女は2021年6月に出所した。
今年12月3日、21年6月以来、久々にインスタグラムを更新した。現在カナダのトロントにある大学院で留学していることを明らかにし、その中には「香港には一生戻らないだろう」とも書かれており、世間を驚かせた。周氏は12月21日の未明、『週刊エコノミスト』の取材に応じ、今の思いを語った。(聞き手=佐藤大輔・ジャーナリスト)
カナダに留学した理由と経緯
周氏は刑期終了後、実家を出て1人暮らしをしていた。香港は家賃が世界有数の高さのため結婚するまで親と同居する人が多いので珍しいケースだった。「国安法で逮捕されたとき実家に警察が来て、私の所有物だけでなく家族のものも持っていかれたりしたので、1人暮らしの方がいいと思ったんです」(周氏)。
私(佐藤)はカナダで勉強しようと思った経緯について尋ねた。「刑期を終えてからもパスポートは没収状態でした。家賃を払うためにも仕事探しをしましたが、私の職務経験などでは、見つけるまで苦労しました。新規の銀行口座を作ることも拒否され、3カ月に1回は警察に出頭する必要があります。生活は不便で、精神的にとても厳しいものがありま…
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週刊エコノミスト
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