米大統領選は“バイデン対トランプ”濃厚 誰が勝とうと動き始める世代交代 安井明彦
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米国の大統領選挙は、2024年11月5日に投開票が行われる。民主党では現職のバイデン大統領が再選を目指し、共和党ではトランプ前大統領が党の指名候補を選ぶ予備選挙で対立候補を引き離している。健康問題などで不測の事態が起こらない限り、20年と同じ顔触れでの再戦になる可能性が濃厚だ。
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勝敗の行方は、混沌(こんとん)としている。本来、大統領選挙はバイデン氏のような現職に有利だが、世論調査では僅差ながらトランプ氏がリードする結果が目立つ。20年の選挙の際の世論調査と比較しても、当時は一貫してバイデン氏がリードしており、再選への道のりは厳しそうだ。
一方で、一見すると好調なトランプ氏も、強固な岩盤支持層を誇るとはいえ、支持層の広がりに欠けている。人工妊娠中絶の権利擁護のように、民主党の主張が世論に強く支持されている論点があるなど、不安材料には事欠かない。
不透明さに拍車をかけるのが、同日に投開票が行われる議会選挙だ。現在の議会は、上院は民主党、下院は共和党が多数派の「ねじれ議会」であり、多数派と少数派の議席数の差は、上院で2議席、下院で8議席と極めて小さい。一部の激戦州の結果に左右される大統領選挙と同様に、最近の議会選挙は少数の激戦区の行方によって多数派が頻繁に入れ替わっており、今回も僅差で多数派が決まる可能性が高い。多数派の政党に現職の地盤が弱い議席が偏在しており、両院で同時に多数派が交代し、組み合わせの異なるねじれ議会になるかもしれない。
僅差の多数派では、少数の造反議員が出ただけで審議が混乱に陥る。これにねじれ議会が重なれば、上院と下院のあいだの調整にも手間取ることになる。どちらが大統領になっても、政策運営は混迷が必至だ。
次世代リーダーが頭角
選挙後まで広がる不透明さは、世代交代への過渡期であるがゆえの生みの苦しみかもしれない。1992…
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週刊エコノミスト
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