米国株は増益基調が市場けん引 S&P500は5200へ 岡元兵八郎
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米国経済は利上げが終わり、24年後半には利下げに転じると考えられる。ハイテク関連の成長は今後も続き、米国株は投資対象として依然として有望だ。
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思い起こせば2022年12月ごろ、23年には米国でリセッション(景気後退)が起きるのは想定内、米国株は大きく下がるという見方がコンセンサスになっていた。フタを開けてみれば、シリコンバレー銀行ショック、イスラエル紛争のようなネガティブなイベントがいくつもあったにもかかわらず、リセッションは起きず、23年の米国株は2桁%台の上げで終わりそうだ。「(通説などによる)コンセンサスは常に間違う」というセオリーが証明された格好となった。
24年のマーケットで大きなドライバーとなるのは、引き続き金利と企業業績の見通しだ。
金利の方向性に影響を与えてきたインフレについては、すでにピークを付けているだろう。米国の金融政策については遅くとも24年後半には利下げに転じると考えている。今すぐ利下げがなくとも利上げが終わったことを受け、株価が上昇する可能性が高いのは歴史が証明している。
企業業績についてもこれから増益のトレンドが続く見通しだ。
20年コロナ禍で落ち込んだ企業業績は翌年21年10~12月期に前年比で28.3%増と大きくリバウンドしたが、その後徐々に業績の伸びは衰える。だが、23年4~6月期には7.1%減でボトムアウトし同7~9月期は4.5%の増益となった。
今後については、23年10~12月期、24年1~3月期、4~6月期、7~9月期はそれぞれ1.8%、7.2%、11.0%、9.4%の増益が予想されており(図1、ブルームバーグ集計のアナリスト予想平均値)、今後トレンドとしては右肩上がりの業績の伸びが期待される。通年では23年は前年比で3.3%の減益だが、24年は11.1%の増益、25年についても現時点では11.9%の増益予想(図2)だ。企業業績予想の視点では、24年の米国経済はソフトランディング(軟着陸)に成功しそうである。
巨額MMFが株式に
24年の米国株市場の行方を考えるにあたり避けて通れないのは4年に1度の大統領選だ。共和党候補では77歳のトランプ前大統領が絶対的な人気を維持、このままでいくと24年7月の共和党全国大会でトランプ前大統領が大統領候補となり、81歳と高齢のバイデン大統領と77歳のトランプ前大統領との一騎打ちという4年前の大統領選再来の可能性が高い。
個人的にはどちらが大統領になっても不安を覚えるのであるが、結論から言うと、誰が大統領になるかよりも、大きくもめることなく選出されることが重要だ。共和党は一般的に民主党よりビジネス寄りで、株価にとって良いと思われがちだが、米国株の歴史を確認すると実は民主党の大統領の方が株価のパフォーマンスが良かったという傾向がある。
むしろ…
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週刊エコノミスト
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