教養・歴史 2023年の一冊
読んで書いて登って 山の本を中心とした亡き兄の書評エッセー 池内了
『山の本棚』 池内紀著・挿画 山と渓谷社、1980円
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肉親である兄の本を取り上げるのはずいぶんおこがましいことなのだが、兄が亡くなって丸4年たった夏に、12年間153回にわたって『山と渓谷』誌に書きつづった書評エッセーが出版されたので、ぜひとも紹介したいと思ったのだ。
むろん、深田久弥や串田孫一のような山好きの先達が書いた『山のABC』やウェストンの『日本アルプスの登山と探検』、信濃毎日新聞社編の『北アルプストイレ事情』などの山に関わる本が多くを占めるが、ケストナーの『人生処方詩集』やダーウィンの『種の起源』のような山とは縁がない本も取り上げ、葛飾北斎の『富嶽百景』や『日本山海名産図会』のような古典の図譜に立ち寄り、『マルハナバチ 愛嬌者の知られざる生態』や『…
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週刊エコノミスト
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