教養・歴史

目的合理的な消費社会が「不要不急」を排除する傾向に疑問を投げかける 藤原裕之

『目的への抵抗』 國分功一郎著 新潮新書、858円

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 膨大なタスク処理に追われるとネット上の「答えらしきもの」に飛びつきたくなる。そんないつもの悪い癖が頭をもたげようとしたとき、幸運にも本書に出会うことができた。答えらしきものに安易に飛びつく怖さに気付かされ、一呼吸おいて目の前のタスクに集中できた。

 哲学者である著者は、すべてを目的に還元し、目的からはみ出るものを認めようとしない消費社会に疑問を投げかける。消費者が何かに気付き始めても、すぐ目的合理的な消費社会の論理に連れ戻されてしまう。本書では目的によって手段が正当化されてしまう現象としてコロナ危機下の「不要不急」を取り上げる。不要不急と名指しされたものを排除するのを厭(いと)わない社会の傾向。それはコロナ以前から進行していた消費社会の論理…

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