教養・歴史

23年一番の大作 精緻な格差変遷史と大胆な資本主義変革論 諸富徹

『資本とイデオロギー』 トマ・ピケティ著 山形浩生、森本正史訳 みすず書房、6930円

>>特集「2023年の一冊」はこちら

 重さやページ数(900ページ超!)の物的側面だけでなく、内容面でも今年一番の大作であった。格差の問題にこれほど本気で取り組む経済学者が他にいるだろうか。この問題が、依然として経済学の主要課題であることを改めて認識させてくれる一冊だ。

 著者は、古代から現代に至る歴史を、格差を生み出し、各時代の正統派イデオロギーでそれを正当化するメカニズムの変遷史として描き出す。経済学を超えて、政治、社会、思想、そして歴史にまたがって統合的な知を生み出すその手腕は、相変わらず見事である。

残り469文字(全文767文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事