投資・運用

新NISA ぜひ押さえたい六つの基本 福島理

 新NISAは多くの人にとって、資産運用の「キホンのキ」になる制度だ。

>>特集「とことん得する新NISA」はこちら

 いよいよ今年1月から新NISAがスタートした。新NISAは投資枠の拡大や投資可能期間の恒久化などにより、従来のNISA制度を“神改正”し、大幅に使いやすくなっているのが特徴だ。

 1 そもそも、なぜNISA?

 そもそも、なぜNISAを利用した投資が必要なのか。

 2023年は食品から電気代、ガス代、日用品まで周りのあらゆるモノ・サービスの価格が上がった一年だった。いわゆる「インフレ」が起こっている。物価の上昇に伴って、米国などのように賃金も上がっていけばいいのだが、なかなかそういうわけにはいかず、家計は苦しくなっている。これまで100円で購入できていたものが、100円では買えなくなってしまうわけなので、お金の価値が目減りしたことになる(図1)。

 一方で、銀行の預金金利は0.002%程度。100万円を預けていても、1年間に20円(税引き前)の利息しかつかない。

 以前、話題となった「老後2000万円問題」も記憶に新しい。老後20年から30年間で約1300万~2000万円が不足するという試算を端緒に物議を醸した。日本では、平均寿命が延びる一方で、年金受給額は減少している。豊かな老後を送るには、ある程度の老後資金を確保する必要がある。日々の生活を切り詰めながら給料をコツコツ貯蓄していくのもひとつの方法だが、低金利で利息が期待できない現在では、お金の価値は目減りしていくばかりである。このような現状において、NISAを利用し、今あるお金もしくは今後入ってくる収入を自身で増やしていかなくてはいけない。これからは少なからず投資をしていくことは必須の時代となる。

 2 制度の詳細を理解する

 次に、旧NISA制度から新NISAへの“神改正”の詳細を理解しよう。

 まず、今までの「つみたてNISA」と「一般NISA」の一本化について。旧NISAでは、この二つのNISA口座を併用できず、どちらかを選ぶ必要があった。新NISAでは口座は一本化され同口座の中に「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つの枠が用意されて、同時に使うことができる。これにより、つみたて投資枠で、コツコツと投資信託を毎月購入し、成長投資枠で好きなタイミングで株式投資が可能となる。

 次に非課税保有期間の無期限化だ。これまで一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間と非課税期間が限定されていが、これが無期限となった。期限内に売却したり、翌年の非課税投資枠に繰り越すなどの手続きも不要となり、自分のペースでじっくり長期にわたって運用することができる。これにより制度開始当初からあった不満が解消された。

 続いて、生涯における投資限度額が1800万円に拡充されたことだ。これまでの運用できる限度額は、つみたてNISAで最大800万円(年間40万円×20年)、または一般NISAで最大600万円(年間120万円×5年)だったが、今年からNISAは、つみたて投資枠(年間最大120万円)と成長投資枠(年間最大240万円)…

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週刊エコノミスト

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