空き家をリノベして再生する 内山博文・一般社団法人リノベーション協議会会長
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空き家を活用するため、リフォームやリノベーションが盛んだ。業界団体の会長に聞いた。(聞き手/構成=谷道健太・編集部)
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戸建て住宅の価値は建ってから15~20年たつとゼロになるといわれている。しかし、老朽化した設備などを更新して機能性を新築当時まで戻せば、価値を上げられる。そのような改修を「リフォーム」と呼ぶ。さらに、機能の改善にとどまらず、間取りを大きく変えるといった状況を改善するような改修を「リノベーション」と呼んでいる。
リフォームやリノベーションには工務店、設備・建材メーカー、ハウスメーカー、ホームセンター、家電量販店などさまざまな業種の事業者が参入した。そのようなビジネスが活発になった2009年、関係事業者を会員としてリノベーション住宅推進協議会(18年に現名称に変更)を立ち上げた。会員には、エンドユーザーがリノベーションを前提で買った中古物件を施工するビジネスや、中古物件を購入後にリノベーションして再販売する「買取再販」などのビジネスに従事している事業者が多い。エンドユーザーが安心して事業者にリノベーションを依頼できるよう、施工に関する基準を定めている。例えば、給排水管、給湯管、ガス配管、電気配線、床・壁・天井の下地などを協議会の定める方法で検査し、エンドユーザーに報告書を出して最低2年間の保証を付けることを提案している。
既存住宅の有効活用
政府も既存住宅の有効活用を重視するようになった。例えば、18年、住宅事業者が一定の要件を満たす中古住宅を買取再販する場合、敷地購入にかかる不動産取得税を減額する特例を設け、事業者を後押しする。買取再販の販売戸数は年々増え、最大手のカチタスは年5200戸を超すというから影響は大きい。エンドユーザー向けにも、一定要件を満たすリフォームをした中古住宅を購入すると、住宅ローン金利が新築住宅より低くなる制度や、住宅ローン控除を新築並みにする制度を設けた。
政府の後押しとは別にリノベーションが活発化する事情がある。
一つは、新築物件の建築費上昇が物価高を背景にここ数年続いたため、着工件数が急減…
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週刊エコノミスト
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