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経済・企業 半導体 日本復活の号砲

エヌビディアとAMDが生成AI市場で因縁の戦い 吉川明日論

エヌビディアのジェンスン・ファンCEO(右)とAMDのリサ・スーCEO。2人は「遠い親戚」(スー氏)の間柄だという Bloomberg
エヌビディアのジェンスン・ファンCEO(右)とAMDのリサ・スーCEO。2人は「遠い親戚」(スー氏)の間柄だという Bloomberg

 AI用半導体をほぼ独占する「新王者」エヌビディアに、シリコンバレーのライバルたちが挑戦状をたたきつけている。

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 米国半導体企業NVIDIA(エヌビディア)は生成AI市場の爆発的拡大に乗って昨年の売り上げが倍増、米インテルや韓国サムスン電子など、市場シェアで上位の企業の売り上げを抜き去り、一気に「世界最大の半導体企業」になることが確実な情勢である。株式時価総額は1兆ドル(147兆円)を突破し、昨年1年で約3倍に急伸した。

 驚異的な成長は、生成AIの開発・運用に必須な高性能GPU(グラフィックス・プロセッサー=画像処理半導体)市場をほぼ独占することで可能となった。エヌビディアの「A100」「H100」といったAI開発用半導体は世界中で需要が供給を大きく上回って単価が高騰した。生成AIの最終市場ではサービスの開発をいかに速く進めるかが各社競争の要となっていて、開発競争に明け暮れる生成AIサービス企業間では、エヌビディア製品の確保自体がビジネス成功のカギを握るという状況が続いている。

“時の人”となった最高経営責任者(CEO)のジェンスン・ファン氏は常時黒い革ジャンを身に着けていて、「革ジャンCEO」として一躍脚光を浴び、一般紙でも写真を見かけた方は多いだろう。その精力的な仕事ぶりも広く知られていて、昨年12月には日本を含むアジア5主要国を1週間で回り、各国首脳を訪問して業界を驚かせた。

 GPUは元来、高性能コンピューターの画像処理・表示を目的として開発されたが、その並列計算能力が、限られたタスクを超高速に処理する生成AI開発・運用に適していることに目をつけたファン氏がこの10年来AI開発用のソフトウエアに投資をし、AI開発者にとってエヌビディアの開発プラットフォームはなくてはならないものとなった。今やエヌビディアの高性能GPUはAIプロセッサーの標準ともいえる存在である。ファン氏の先見性が生成AI市場の出現で見事に花開いた形だ。

因縁の対決

 一昨年末に突如登場し、人間が作成したような自然な文章を生み出すチャットGPTをはじめ、多くの企業が同市場に参入してエヌビディアのGPUは取り合いの状況だ。現在も品不足が続いて、旺盛な需要に供給が追いつかない。2024年は多くの競合が現れ、強烈なチャレンジを受けることが予想される。

 その中で最も厄介なチャレンジャーが同じシリコンバレーで生まれたAMDである。生成AI市場が急成長する以前から、ゲーム用の高性能PCのグラフィクスボード分野でGPU市場を二分してきたAMDは、昨年独自開発のAIプロセッサー「MI300A/X」シリーズを発表し、リサ・スーCEOがエヌビディアへの挑戦を公然と宣言した。

 偶然ではあるが、スー氏はファン氏と親戚関係にある。また、AMDのGPU開発技術は06年にカナダのATIテクノロジーズ社買収によって獲得したものであるが、AMDの当初の計画ではエヌビディアが買収対象候補であった。しかしCEOのポジションについて合意が得られず、大型買収が頓挫した経緯もある。エヌビディア…

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