投資・運用

出だし好調な新NISA “爆買い”されるインデックス型投信 前山裕亮

みずほ銀行八重洲口支店は昨年9月から毎週「みずほNISAカフェ」を開いて制度の周知を図った(東京都千代田区で2023年12月7日)
みずほ銀行八重洲口支店は昨年9月から毎週「みずほNISAカフェ」を開いて制度の周知を図った(東京都千代田区で2023年12月7日)

 今年から大幅に拡充され、スタートした新NISA制度。年初からの出足を分析すると、インデックス型の外国株式投信が“爆買い”状態だった。

米国株式投信より地域分散した外国株式型が人気

 2014年にスタートし、18年からつみたてNISAも加わった少額投資非課税制度(NISA)。この10年で制度の認知、普及がかなり進み、今年からいわゆる新NISAとして大幅に制度拡充され、生まれ変わった。

 まずは、これまでの制度の歩みを振り返る。NISAの口座数は23年9月末時点で一般が1128万、つみたてが906万となり、全体で2034万となっている。

 特に現役世代が口座開設に積極的で、30歳代から60歳代については口座数が人口の20%前後もしくはそれ以上となっている。つまり、5人に1人が一般NISAかつみたてNISAのどちらかの口座を保有している状況である。最も口座開設が進んでいる30歳代だとNISA口座の保有比率が25%に達し、実に4人に1人が保有している。

 口座数の推移を詳しくみると、一般NISAは制度開始時に金融機関の間で口座獲得競争が行われたこともあり、14年末に825万口座と出足はよく、その後も緩やかに口座数は増えた(図1)。ただし、16年からNISAを利用するためにマイナンバー告知が義務化された際に、16年以前に開設された200万口座以上のマイナンバーが告知されず、結果的にそれらの口座は22年に廃止となった。

 それでも18年からつみたてNISAが始まると、つみたてNISA中心に口座開設が一段と進んだ。特に19年の「老後2000万円問題」が転機となり、つみたてNISAの口座開設が急増した。20年以降は18年の104万口座を上回る口座が毎年開設され、21年には215万口座も増加した。21年はNISA全体でみても268万口座の増加と、一般NISA開始年の14年を除くと口座の増加数は最大となった。

 23年は9月末までに一般NISAが49万口座、つみたてNISAが180万口座、NISA全体で230万口座増えた。つみたてNISAは23年7~9月に四半期の口座開設が過去最大となっており、23年は21年を上回る口座開設が行われたと推測される。現時点では政府が掲げた5年で3400万口座を達成するかは不明だが、とりあえず新NISAを前に23年、特に年後半は口座開設に弾みがついていた様子である。

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