経済・企業

日の丸半導体の復活を支える主力5社 大山聡

 日の丸半導体の再興を語るうえで、欠かせない主力半導体メーカー5社を解説する。(大山聡〈おおやま・さとる〉グロスバーグ代表)

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ソニーセミコンダクタソリューションズ

「電子の目」で世界一

 ソニー(現ソニーグループ)の100%子会社として、2015年に分社設立した。22年度は売り上げ1兆4022億円、営業利益2122億円、23年度は売り上げ1兆5900億円、営業利益1950億円を見込んでいる。売り上げのほとんどが「電子の目」であるCMOSイメージセンサー(CIS)で占められており、同市場で5割近いシェアを誇っている。業界2位の韓国のサムスン電子が同社に追いつこうと健闘しているが、大きなシェア変動はここ数年発生しておらず、この分野におけるソニーの実力が極めて安定している様子がうかがえる。

 CISの用途としては、約70%がスマホ・タブレットのカメラ向け、約25%がビデオ機器向けとなっているが、今後は車載向けが伸びることが期待される。車載分野ではすでに多くのイメージセンサーがADAS(先進運転支援システム)に導入されている。同社は車載分野では後発だが、自動運転を見据えてAIエンジンを搭載したイメージセンサーを開発し、ホンダとの合弁でソニー・ホンダモビリティを設立するなど、車載分野に対する積極的な姿勢がうかがえる。

ルネサスエレクトロニクス

買収戦略が奏功し高収益

 2022年度は売り上げ1兆5027億円、営業利益5590億円、23年度は売り上げ1兆4658億円、営業利益4954億円を見込んでいる。自動車向けは好調に推移し、産業・インフラ・IoT向けがやや伸び悩んでおり、全体では前年の実績を下回る見込みだが、30%を超える営業利益率を維持しつつ、売り上げも安定している点はポジティブに評価できるだろう。

 マイコンが強く、アナログ、パワーデバイスが弱点とされてきた同社だが、21年に英国のダイアログ・セミコンダクター社を買収してアナログの強化を図り、24年1月には米国のトランスフォーム社の買収を発表、GaN(窒化ガリウム)技術の獲得に乗り出した。前者の買収は産業・インフラ・IoTの強化に効果を発揮するし、後者は次世代パワーデバイスとして多分野への広がりが期待できる。

 日立製作所と三菱電機の半導体部門の統合、さらにはNECエレクトロニクスの統合、その翌年…

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