国内投資が目白押し 半導体後工程でクラスター化狙う 武野泰彦
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2024年は日本国内で半導体工場への投資が活発化する。装置・部材産業も盛り上がりが期待できる。
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2023年の半導体市場は、自動車の電動化によるパワー半導体、チャットGPTなどの生成AI(人工知能)の登場によるGPU(グラフィックプロセッサーユニット)への旺盛な需要のほか、積層したDRAM(一時記憶用メモリー)であるHBM(広帯域メモリー)が好調であった。
24年初頭から先端微細加工技術を用いる5ナノメートルの製造ラインはフル稼働の状況で、DRAMもHBM需要の拡大により価格も上昇傾向だ。一方、NANDフラッシュメモリー(長期記録用メモリー)の回復には時間がかかるものの、年後半には回復するだろう。
24年の設備投資では、EUV(極端紫外線)露光の高NA化(レンズの明るさや解像度を高めること)、ダブルパターニング(二重露光)による微細化が進むとともに、SoC(システム・オン・チップ)を分割するチップレットを集積したSiP(システム・イン・パッケージ)による高性能化への投資が拡大する。これにより、日本が得意とする装置・部材産業への波及効果が期待できる。
後工程も官民が後押し
日本政府の支援により、国内での半導体工場の新設や増設も活発化している。北海道で先端半導体の国産化を目指すラピダス、熊本県に台湾積体電路製造(TSMC)子会社のJASM、広島県のマイクロン・テクノロジーなどが含まれる。TSMCは、日本における第2工場を熊本に、さらに第3工場を検討している。このほか、旧三洋電機の半導体部門から米オン・セミコンダクター傘下を経て、投資ファンドが母体となったJSファンダリが、新潟県でパワー半導体やアナログ半導体の受託製造を開始したほか、SBIホールディングスと台湾の受託製造大手の力晶積成電子製造(PSMC)が共同で、宮城県で半導体ファウンドリー工場建設を昨年10月に発表。外資や国内資本が入り交じる形で半導体製造の増強プロジェクトが相次いで立ち上がっている。
研究開発分野では、茨城県つくば市でTSMCが、半導体製造後工程を担うパッケージの研究開発センターを開設し、韓国サムスン電子も横浜市に先端パッケージ研究の開発拠点を開設する予定で、日本は半導体パッケージング技術の開発拠点として注目されている。その後押しを、日本政府が進めるLSTC(技…
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週刊エコノミスト
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