日の丸半導体素材・製造装置の注目15銘柄 水野文也
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日本が強みとする半導体素材・製造装置の注目15社の業況と株価を展望する。(水野文也〈みずの・ふみや〉ジャーナリスト)
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信越化学工業
シリコンウエハー世界トップ
シリコンウエハーで世界のトップ企業。300ミリメートルウエハーは2023年7~9月期が大底と見込んでおり、今後は回復が見込まれている。生成AIの注目度が高まるにつれ、超高速DRAM、GPU(画像処理プロセッサー)など、チップの積層化による需要拡大が期待されている状況だ。足元の業績も、これまでの進捗(しんちょく)率から24年3月期は従来の予想より上振れが見込まれている。一方、能登半島地震で直江津工場が一時的に操業停止となったが、すかさず再開したことで、この点の業績に及ぼす影響は軽微となりそうだ。
SUMCO
ウエハーで信越化と双璧
半導体用シリコンウエハーの製造・販売を行う専業メーカーで、この分野において信越化学工業と世界レベルで双璧をなす。ウエハーは既に大底を打ったとみられており、同社の業績は上向き期待が大きい。
昨年夏には、経済産業省が、佐賀県に同社が新たに造るシリコンウエハー工場に最大750億円を助成すると発表。政府は半導体産業の拡充を国策として進めているが、この助成はそれを示す形となり、国策が同社の事業にとって追い風になると期待される。株価チャートは上向きを鮮明にしてきた。
東京応化工業
フォトレジスト世界トップ級
半導体製造工程で使われるフォトレジストで世界トップクラスの企業であり、微細加工技術と高純度化技術に高い評価が下されている。そのほか、液晶用製品や化学薬品、関連装置など幅広い分野に展開中だ。2023年12月期については、同1~9月期(第3四半期)までの連結経常利益が約30%減益に、通期計画に対して66%の進捗率にとどまるなど苦戦している印象が強いものの、半導体業界全体が復調の気配を漂わせる中で、フォトレジストを手掛ける同社のみが悪いままとは考えにくく、収益回復が期待される。
レゾナック・ホールディングス
売上高の3割が半導体分野
昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が経営統合して誕生した総合化学メーカーの雄。電炉用黒鉛電極でトップシェアを誇るなど、昭和電工時代はオールドエコノミーの印象があったものの、現在の売上高構成比で半導体分野が3割強を占めており、ビジネ…
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週刊エコノミスト
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