投資・運用

金投資完全マニュアル――新NISAも活用! 深野康彦

 金に投資するといっても延べ棒を買う以外にも方法がある。今年1月から始まった新NISAの活用も考えたい。

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 円建ての金価格は昨年、1グラム=1万円を超えた。1990年代半ばは1グラム=1000円前後だったことから、四半世紀かけて金価格は10倍に上がったことになる。となると、今から金を買うことに二の足を踏んでしまう人もいるだろう。しかし、金価格に逆風が吹いていた昨年、1グラム=1万円の大台に乗せたことを考慮すれば、金をこれから購入しても遅くはないと考えられる。金を購入するにはどのような方法があるのかを解説しよう。

 金に投資する主な方法には、①地金を購入する「現物」、②金価格に連動した収益が期待できる「上場投資信託」(ETF)、③金価格に連動した収益が期待できる「金投資信託」、④金採掘企業などの株式を組み入れて運用する「金鉱株ファンド」、⑤証拠金を差し入れてその数倍の売買ができる「金先物取引」──がある(図)。このうち、国内で設定されていた金鉱株ファンドはすべて償還済みであり、今年1月下旬現在は購入できない。また、金先物取引は上級者向けの投資スタイルなので割愛する。

〈金の現物購入〉金地金、金貨、純金積立

 現物は貴金属としての金そのもののことだ。金融商品ではないことから、年初にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)の対象にはならない。大きく分けて金地金、金貨、純金積立の三つがある。順に説明しよう。

 金地金はいわゆる「延べ棒」のことで、「インゴット」とも呼ぶ。購入できる場所は三菱マテリアルや田中貴金属工業などの貴金属商のほか、精錬会社、百貨店の宝飾品売り場などだ。三菱マテリアルの場合、最小5グラムから最大1キログラムまで6種類を取り扱っている。

 円建ての金価格は1日に1度、1グラム当たりの買値(販売価格)と売値(買取価格)が決まり、それに応じて金地金や地金型金貨(後述)の価格が決まる仕組みになっている。株価のように1日の間に刻々と変動することはない。

 三菱マテリアルの小売価格(1月25日現在)は1グラム=1万589円。最少5万7345円(5グラム)、最大1058万9000円(1キログラム)の購入代金に加え、500グラム未満の場合は販売手数料がかかり、それぞれに消費税を支払う仕組みだ(表1)。また、売却時は買取手数料がかかり、これにも消費税を支払う。購入した金地金を手元に置くと盗難や紛失が心配なら、購入した店に費用を支払って預けることも可能だ。

 金貨は価格が金地金に連動することから「地金型金貨」とも呼ばれる。購入できる場所は金地金と同じ。日本で購入できる金貨は、オーストラリアの西オーストラリア州政府造幣局が発行する「カンガルー金貨」▽カナダ政府造幣局が発行する「メイプルリーフ金貨」▽オーストリア政府造幣局の「ウィーン金貨ハ…

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