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経済・企業 中華系格安ECの衝撃

DX徹底のSHEINに続き在庫一掃のTemuも日本へ 山谷剛史

日本に続々と進出する中華系のECサイト
日本に続々と進出する中華系のECサイト

 SHEIN、Temu、7sGood──。中華系企業が日本で次々に破壊的な価格の通販サイトを展開している。なぜそれほどの低価格が可能なのか、そのビジネスの裏側を探った。

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 中華系の格安EC(電子商取引)サイトが続々と日本に上陸している。これまでも、米アマゾンの「マーケットプレイス」への出店や、中国EC大手アリババの海外向け通販サイト「アリエクスプレス」などがあったが、「Temu(テム)」や「SHEIN(シーイン)」「7sGood(セブンスグッド)」が日本向けにサービスを開始している。その大きな特徴は「激安」な価格だ。

 いずれも、さまざまな中国製商品が買えるモールだ。では、どれだけ魅力ある価格なのか、値段をみてみよう。同じ商品が販売されているケースも多々あるため、同じ商品の価格で比較してみる。例えば、昨年11月29日時点では、アマゾンで999円で売られているドライヤーが、アリエクスプレスでは487円、SHEINでは511円、Temuは368円で売られていた。Temuが最も安く、アマゾンの半額以下だ。

 配送速度では国内倉庫から発送するアマゾンが最速で、国内倉庫を持たず個人輸入の形態を取るTemuとSHEINは4~9日かかる。アリエクスプレスは早くて8日、遅くて60日と幅があり、気長に待っていたらいつか届くといったところだ。また、プロジェクターは最も安いのがアリエクスプレスの7704円で、SHEINが1万597円、Temuが1万1659円、大きく離れてアマゾンが1万9200円だった。

 アパレルはどうかとみてみると、ワイドパンツはSHEINが1305円と最も安く、アリエクスプレスの1556円、Temuの1912円、アマゾンの2580円と続く。つまり、アマゾンは最も高いという傾向があり、アリエクスプレスとTemu、SHEINは実際に比べてみないと分からない。配送に関してはアマゾンが最も早く、続くTemuとSHEINが同じ程度、アリエクスプレスは最も時間がかかる。

アメリカ大陸で存在感

 品質はどうか。実際にシャツを購入してみると、SHEINのシャツの肌触りは、ユニクロやイオンのシャツに比べると安っぽさはある。Temuの雑貨商品は悪くない。中国国内の競争でモノづくりが鍛えられたことを背景に、かつての「安かろう悪かろう」という中国製品の印象と比べればかなり良くなっている。デザインについても改善されており、中には侮れないオリジナルデザインの製品も登場している。

 アリエクスプレスは2010年、グローバルにサービスを開始して日本にも利用者が徐々に広がる中、SHEINが新型コロナウイルス禍の最中の20年12月に、7sGoodは22年3月に、そしてTemuが昨年8月に進出した。TemuとSHEINはアプリダウンロードランキングで上位の常連となり、SHEINは東京・原宿と大阪・心斎橋にショールームもオープンしている(心斎橋店は昨年1月末に閉店)。

 同じ中華系ECといっても、それぞれに特徴や違いもある。取扱商品はSHEINがアパレル中心で、Temuはアパレルに加えて雑貨や家電なども手広く販売している。アリエクスプレスはTemuに近い品ぞろえだ。一方、7sGoodは雑貨が中心で、製品紹介に動画を活用して分かりやすく販売するスタイルを特徴としている。

 SHEINとTemu、アリエクスプレスは日本以外でも事業を手掛けており、先行するアリエクスプレスは実質的にすべての国・地域でサービスを提供している。また、SHEINは北米、欧州、中南米、中東、東南アジアなどで、Temuは欧米や日韓などで事業展開する。SHEIN、Temuとも米国、メキシコ、ブラジルでは存在感を示し、小売市場を席巻している。

 なぜ、これほどの低価格が可能なのか。世界的に事業を急拡大させているSHEINとTemuの二つのサービスの事業モデルを取り上げてみたい。SHEINは人気の出そうな安価なアパレル製品を圧倒的な速度で少量生産するのが大きな特徴で、Temuは中国の新興ECサイト、拼多多(ピンドゥオドゥオ)の商品を国外に輸出するモデルと、内部システムを含めてまったく異なっている。

 SHEINは08年、江蘇省南京市で設立され、22年まで本社を古くからモノづくりの街として知られる…

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