投資・運用

充実の株主優待が注目の銘柄はこれだ 木村佳子

外食や交通など各社が発券する株主優待券
外食や交通など各社が発券する株主優待券

 安定株主確保のため、株主優待に力を入れる上場企業も少なくない。狙い目の銘柄をピックアップした。

>>特集「勝つ投資」はこちら

 システム開発のセグエグループの株価は今年2月中旬、わずか4営業日で約2倍に急騰した。理由は同13日に発表した株式分割と株主優待の新設だ。1000株以上保有する3月末と9月末時点の株主に計3万円分の金券「QUOカード」を進呈する。上場企業が株主優待を拡充すると、個人投資家が増え、株価を押し上げる効果が明らかになった一例だ。

 企業が優待品を付与するタイミングは決算月が多い。3月決算の企業なら、3月末の「権利確定日」時点の株主に優待品を付与する。企業によっては9月末時点の株主にも優待品を進呈する。日本企業の決算月は3月が多いが、12月や他の月の企業もある。配当と株主優待をそれぞれ年2回出し、決算月が異なる2社に投資すれば、配当と株主優待品を年4回、3銘柄なら年6回、6銘柄なら毎月得られる。

 企業によっては、保有株数が多い株主や保有期間が長い株主に付与する優待品を増やしている。食品卸大手の尾家産業を例に挙げよう。顧客は外食産業などで、消費者にはなじみが薄い。同社は知名度を上げるためにも優待品を3月末に付与する。23年は保有株数100株以上=レトルトカレー(200グラムを3袋)▽1000株以上=梅干し(1キロ)▽3000株以上=コメ(5キロを2袋)など7種類から選択──だった。4年以上保有すると9月末に2000円相当の自社商品も進呈する。

 今年2月28日現在、単元株数(100株=以下同)を買うと17万1700円。レトルトカレーの市販価格は1袋200円台のようだ。3袋で600円とすれば、利回りは年0.3%となる(2月28日株価で購入した場合=以下同)。24年3月期の配当は昨年9月末と今年3月末にそれぞれ1株当たり30円(3月末は会社予想)。25年3月期も同水準とすれば、単元株数を購入した人は計6000円の配当を得られ、利回りは年3.5%だ。優待品と配当の価値が計6600円とすれば、利回りは年3.8%になる。

dポイント1500円分

 NTTは株式を購入してから2年以上たたないと優待を付与しないが、付与内容の現金換算額は高い。NTTが付与条件を変更せず、2年後の26年3月末時点で株主のままなら、同6月ごろに優待をもらえる。優待の内容はグループ会社のNTTドコモ…

残り966文字(全文1966文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事