米EV市場にテスラのライバル不在 シェア争奪戦はこれからだ 土方細秩子
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フォード、GM(ゼネラル・モーターズ)、クライスラー(ステランティス)のビッグ3や新興メーカーの新型車の市場投入の遅れが米国のEV市場の停滞を招いている。
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2024年に入り、米国ではEV販売に陰りが見え始めた、EV化が減速している、という報道が相次いでいる。実際にテスラ株は前年比で5割以上下落するなど、市場に対する失望感も広がっている。確かにテスラは一時、米EV市場の販売シェアが7割以上を占めていたが、23年は56%程度に下がっている。しかし問題はテスラと競り合って市場を活性化するライバルが不在という点かもしれない。オートモーティブ社のデータによると、23年の実績でGM、フォード・モーターのシェアはそれぞれ6%弱、韓国・現代自動車が5%弱、そして新興メーカー、リビアン・オートモーティブは3.7%にとどまっている。EVが自動車販売台数全体に占める割合は、23年で7%弱、24年末で10%程度と予測されている。
割高な第1世代EV
なぜEV化の動きが減速しているように見えるのか。理由の一つは、現在のEVは量産型の「第1世代」と呼んでも過言ではないからだ。つまりまだ技術は進化する余地がある。かつ現在のEVの多くはラグジュアリー・カーに分類される、高価格帯モデルが多く、一般顧客にとってEVはまだ高価なものとなっている。
原因には米ビッグ3による製品化の遅れが指摘される。GMでは8モデル、フォードでは6モデルが23年中に発売予定だったが、現時点でまだ販売されていない。ステランティスに至っては23年時点での米国でのEV販売実績がほぼゼロで、24年の販売予定も未定だ。さらに製造工程での問題などが起こり、一時生産中止となったピックアップトラック「フォードF150ライトニング」のような例もある。ビッグ3は多くの問題を抱えているともいえる。
これは新興メーカーも同様で、リビアンも当初の期待を下回る出荷台数である。フィスカーに至っては経営破綻がうわさされ、日産自動車が支援に乗り出すという報道もある。テスラのライバルと呼ばれたルーシッド・モーターズも販売台数は月間数千台で、5万台以上を売るテスラとの差はまだまだ大きい。
もう一つの理由は、米国のインフレ抑制法(IRA)の存在だ。EV購入者に最大で7500ドルの補助金を支給するプログラムは32年まで継続予定だが、パーツや電池などが一定割合で国産品であること、中国製品使用のモデルは対象から外す、などの規制があり多くのメーカーが全額補助の対象外となっている。ただでさえ価格の高いEVに補助金が受けられないと、EV購入熱は高まらない。
メーカー側にはこれはかなり深刻な問題でもある。24年の規制では人気の「フォードマスタング・マッハE」や「シボレーブレイザー」「日産リーフ」なども全額補助の対象外となった。これらはEVの中では比較的低価格で消費者の支持を得やすいものだけに補助金の有無が与える影響は大きい。
反EVの動きも
そもそも米国はEU(欧州連合)とは異なり、35年からのガソリン車販売禁止を打ち出しているのはカリフォルニアなど一部の州にとどまる。特に共和党支持者が多い州では今後のEVシェアもそれほど高まらないとの予測もある。極端な例では、ワイオミング州の州議会で共和党保守派議員らが「35年から州内でのEV…
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週刊エコノミスト
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