インタビュー「マレーシアから東南アジアの優秀な人材を」永田恭介・筑波大学学長
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筑波大学は2024年9月にマレーシア校を開設する。学位を授与する学部の海外開設は日本の大学では初めてだ。永田恭介学長にその狙いを聞いた。(聞き手=荒木涼子/村田晋一郎/稲留正英・編集部)
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── 開校を半年後に控えた今の思いは。
■いろいろな問題が起こるかもしれないが、日本での開校とは事情が違うので、何が起こるかなと、わくわくしている。
── 18歳人口が減る中、大学への影響は。
■少子化で困るのは国全体だ。人の能力は正規分布で、例えばプロ野球選手になる人は野球をする人間の上位の層。しかし野球をする人間全体が減るため、優れたプロ野球選手も減る。教育も同じ。良い人だけ育てればよいという甘いことは言っていられない。そもそも良い人の数が減る。人が足りず、科学技術も進歩せず、国全体が困る。既に大学では始まっていて、いろいろな大学の偏差値が0.5とか1ずつ下がり始めている。危険な状況だ。
── どうしていくべきか。
■解決策の一つは人数を増やすこと。外国人や社会人など、今まで使えていなかった才能を使う。しかし外国人を受け入れるとしても、どのレベルの外国人が必要なのかを日本政府は明確にしていない。大学で外国人を受け入れる場合、1年程度の留学では国に有益な人材に育たない。海外の高校生を受け入れない限り、本当の意味で少子化対策にはならない。優秀な高校水準の人材は世界中で取り合いになっており、勝ち抜かなければ、国が滅ぶ。
── 今回はなぜマレーシアに。
■本学では10年度から外国人留学生受け入れのプログラム「グローバル30入試」を実施してきたが、直接受験してくる高校生の出身国や数が増えた。広げようとした時、小さい地域に多くの国々がある東南アジアは重要で、ゲートウエーを作りたいと思っていた。
東南アジアにはネットワークがあり、マレーシアの開校は東南アジアの人たちも期待して…
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週刊エコノミスト
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