《徹底解剖》国内製薬7銘柄 赤羽高
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国内製薬大手の武田薬品工業、アステラス製薬、塩野義製薬、中外製薬、エーザイ、小野薬品工業、第一三共について解説する。
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武田薬品工業
デング熱ワクチン独走
2019年にアイルランド製薬大手のシャイアー買収をテコに世界トップ10入り。国内製薬企業の海外展開をリードする。大型買収で悪化した財務体質は徐々に改善し、再び攻めの経営に転じている。新型コロナウイルス分野ではワクチンの導入や開発を手掛けたが、海外大手の後塵(こうじん)を拝した。しかし、独自開発のデング熱ワクチン「キューデンガ」は市場を独走。感染リスクの高い東南アジアや欧州向けにビジネスがスタートした。インドで現地大手との協業も公表しており、WHО(世界保健機関)の推奨も追い風だ。他方、がん領域では過去の海外企業の買収効果がいよいよ顕在化する。
アステラス製薬
遺伝子治療で損失処理
がん治療分野に加えて、免疫抑制剤にも強みを持つ。海外にも多方面に展開するが、免疫抑制剤を軸に中国市場の開拓でもリードする。がん治療分野では前立腺がん治療剤「イクスタンジ」、急性骨髄性白血病治療剤「ゾスパタ」、尿路上皮がん治療剤「パドセブ」などがけん引。中でもパドセブは想定を上回る快進撃が続く。新薬開発では更年期のほてりやのぼせ関連治療薬「ベオーザ」が欧米での治験進展から期待が高まる。業績は遺伝子治療分野など開発案件の見直しに伴う損失処理が足かせだが、バイオ医薬品企業の米アイベリック・バイオの買収などをテコに反攻を目指す。
塩野義製薬
肥満治療薬で臨床中期
感染症分野で同業他社を圧倒。細菌からウイルスまで幅広い製品開発力に定評がある。主力はヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連で、発症防止薬剤は世界水準だ。新型コロナウイルス関連では、ワクチン開発は出遅れたものの、治療薬「ゾコーバ錠」が政府との契約に伴い、1000億円の売り上げを2023年3月期に計上した。肥満治療分野の開発でも先行。肥満治療薬「S-309309」は臨床中期レベルにある。先行品と作用システムが異なるため、併用投与などによりリバウンドの解決にも期待が高まる。この薬は海外大手からの提携要請も多く早期収益化につながる可能性がある。
中外製薬
豊富な新薬パイプライン
独自の新薬開発に加えて、スイスのロシュ傘下の強みを生かした豊富な新薬パイプラインが成長の源泉だ。新…
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週刊エコノミスト
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