《徹底解剖》海外製薬7銘柄 今井正之
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海外製薬大手のアッヴィ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、イーライ・リリー、メルク、ノボ・ノルディスク、ファイザー、ロシュの現状について解説する。
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アッヴィ
リウマチ薬の低迷カバー
アッヴィの2024年1~3月期業績は、売上高が前年同期比0.7%増の約123億ドル、調整後EPS(1株当たり利益)は同6.1%減の2.31ドルとなった。売り上げ全体の4割を占める関節リウマチ薬「ヒュミラ」は、特許期間が終了して、後発品との競争が激化しており、売り上げが同35.9%減と低迷した。一方、乾癬(かんせん)・関節症性乾癬薬の「スキリージ」が同47.6%増、関節リウマチ・アトピー性皮膚炎薬の「リンヴォック錠」が同59.3%増と売り上げを伸ばした。ヒュミラの市場シェアが8割超であることに加え、スキリージやリンヴォック錠の伸びを見込み、通期のEPS見通しを11.13~11.33ドルに上方修正した。
ジョンソン・エンド・ジョンソン
買収で心血管系機器強化
ジョンソン・エンド・ジョンソンの2024年1~3月期業績は、売上高が前年同期比2.3%増の約214億ドル、純利益は33億ドルだった。次回6月の四半期配当額の引き上げも発表した。特許切れが懸念される主力のクローン病・乾癬治療薬「ステラーラ」の売り上げは期待に届かなかったが、多発性骨髄腫の抗がん剤「ダラザレックス」やうつ病薬「スプラバート」の処方は伸びている。同社が強い医薬機器部門はコロナ期に延期されていた心臓外科手術などが再開された影響で回復基調にある。4月には心血管系医療機器のショックウェーブを買収すると発表し、同社の急速な成長を取り込んだ格好だ。
イーライ・リリー
肥満症薬増産へ積極投資
イーライ・リリーの2024年1~3月期業績は、売上高が前年同期比26%増の88億ドル、純利益が67%増の22.4億ドル、調整後EPSが2.58ドルと市場予想を上回る好調となった。同社は従来、糖尿病治療薬が売り上げの約半分を占めてきたが、GLP-1受容体作動薬の2型糖尿病薬「マンジャロ」や「トルリシティ」、肥満症薬「ゼップバウンド」が予想以上に好調で、売り上げの6割を占めた。抗がん剤「ベージニオ」や乾癬治療薬「トルツ」など製品ラインアップも有している。糖尿病・肥満症薬の供給能力の大幅拡張に取り組んでおり、25年、26年に米国の…
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週刊エコノミスト
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