投資・運用 深層真相

金融庁が機関投資家向け「行動規範案」で狙うのは学校法人か

 岸田文雄首相を本部長とする「新しい資本主義実現会議」の作業部会が6月3日に公表した「アセットオーナー・プリンシプル」案が波紋を広げている。アセットオーナーとは、契約者から預かったお金を運用する年金、共済組合、保険会社など機関投資家のほか、学校法人を含む。それに対する行動規範案のことだ。

 政府が昨年末に策定した「資産運用立国実現プラン」は国内の投資環境を整備し、日本企業の成長に必要な資金供給を後押しする青写真だ。しかし個人投資家は海外株投資を好む傾向がある。

 そこで、金融庁が中心となって規範案を作成し、アセットオーナーの運用目標の明確化や情報開示の強化を通じて運用力を高め、国内投資の拡大をもくろむ。しかし、企業年金の幹部は「要するに従業員の老後を支える資金を使ってリスクを取れということか」と反発する。「老後資金2000万円問題」で金融庁と仲がこじれた厚生労働省の腰も重く、年金分野の改革は暗礁に乗り上げつつある。

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