インタビュー「物価上昇に合わせて老後資産も上方修正を」ファイナンシャルプランナー・山崎俊輔氏
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5月上旬、SNS上などで「老後に4000万円必要」の文字が躍り、“バズった”状態になった。きっかけを作ったファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏に話を聞いた。(聞き手=安藤大介・編集部)
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── テレビ番組でのコメントや、オンラインニュースの記事が注目されました。
■物価上昇が始まるということは、資産形成における未来の必要額も増えるという話をしたのです。「老後に2000万円必要」というのは、2019年に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが報告書で指摘した内容で、仮に年3・5%の物価上昇が続けば、20年後にはこれは「老後に4000万円」の準備が必要になる。こう話をしたのですが、「今、4000万円必要なのか」「5年前に2000万円だったのが、たった5年で4000万円になったのか」と受け止められ、大騒ぎになったというのが実情です。
── ニュースサイトのコメント欄には批判的な意見も書き込まれました。
■「年3.5%の物価上昇が20年も続くのかは疑わしい」との意見をもらいました。ですが、20年、30年というのは実際はどうでもいいことです。物価上昇が続けば、モノの値段が上がり、生活に必要な額が増えていくのは間違いありません。目の前の物価が上がり、皆苦労しているわけですが、その次には将来必要な額も上がることになります。現在の物価上昇基調が近い将来にデフレへと逆戻りすることは考えにくく、資産形成の目標額の上方修正が必要になっていると伝えたいのです。
長く働く
── 求められる対策とは?
■必要な額は人それぞれ違います。自分の必要額を検討し、その上で老後に向けた資産形成を進めることが重要です。一番効果的な対策はもらえる公的年金を増やすこと。夫婦共働きで年金を多くもらう、公的年金の支給開始時期を65歳から繰り下げて増額してもらうことは重要な対策となります。
長く働くことも選択肢になります。最近は企業の継続雇用に関するニュースをよく目にします。企業側に、「なかなか採れない新卒者を採り、その後も一生懸命教えるくらいなら、60歳の社員に、管理職の頃よりは低いものの…
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週刊エコノミスト
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