インフレ・金利上昇・円安に強い22銘柄 浅井一郎
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長引くインフレ、金利上昇、円安の影響を受ける株式市場。こうした環境下で投資家が選ぶべき銘柄について調べた。
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物価上昇や金利上昇、円安局面で強い銘柄とはどのようなものか。
これを調べるため、筆者は東証株価指数(TOPIX)を構成する銘柄のうち、時価総額2000億円以上(6月4日終値時点)の535銘柄について、以下の4項目と株価との関係について相関分析を実施した。4項目とは、①コアCPI(生鮮食品を除く全国消費者物価指数)、②長期金利の指標となる新発10年国債利回り、③ドル・円相場、④商品市況の指標であるCRB指数である。
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まず、①コアCPIは、国内の代表的なインフレ指標の一つである。相関関係の強さを示す相関係数が高いほど、物価上昇局面で株価が上昇傾向にあり、インフレに強い銘柄といえる。コアCPIは月次統計のため株価も月足で計測した(期間は2021年1月〜24年4月)。
TOTO、イオンも上位
上位で目立ったのは、「サロンパス」で知られる久光製薬や、「ウォシュレット」のTOTOなど、知名度の高い定番商品を有する銘柄や、京浜急行電鉄などのインフラ関連企業だった。これらの銘柄は、株式市場で、物価上昇局面においても比較的に値上げが浸透しやすいと捉えられているようである。
また、これとは逆の要因で相関性が高いのがイオンである。PB(プライベートブランド)などを活用した価格抑制戦略で、物価上昇局面において生活防衛銘柄として意識されやすいのだろう。なお、コアCPIとの相関係数上位にあるイオンモールはイオン・グループ。クスリのアオキホールディングス(HD)についても、イオンが筆頭株主となっている。
続いて、②新発10年国債利回りとの相関係数は、22年12月20日〜24年5月31日、株価は週足ベースで測定した(なお、後出の③、④についても同様の期間で計測した)。22年12月20日は前日の日銀金融政策決定会合で長短金利操作(YCC)の条件が緩和された会合であり、長期金利上昇の大きな契機となったタイミングである。
相関係数が高いのは、長期金利の上昇を株価の追い風にできる銘柄である。具体的には銀行株や保険株などの金融株が上位に並んだ。銀行株については、メガバンクよりも地方銀行の方が、より高い相関性がうかがえた。国内金利の上昇は、低金利で長年の間…
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週刊エコノミスト
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