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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ AI半導体でエヌビディアを追撃 永井知美

2023年12月、AI向けGPUを発表するリサ・スーCEO(Bloomberg)
2023年12月、AI向けGPUを発表するリサ・スーCEO(Bloomberg)

Advanced Micro Devices 半導体業界世界7位/122

 米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)はコンピューターの中央演算処理装置(CPU)や画像処理半導体(GPU)の世界的大手だ。英調査会社オムディアによる半導体企業の2023年売上高ランキングで世界7位だった。

 米半導体大手だったフェアチャイルド・セミコンダクターのマーケティング幹部、ジェリー・サンダース氏(のちAMD最高経営責任者=CEO)ら8人がフェアチャイルドを退職して1969年、AMDを創業した。最初の製品は「シフトレジスター」という集積回路の一種だった。79年、米ニューヨーク証券取引所に上場した(のち米ナスダック証取に変更)。

 CPUメーカーとして米モトローラなどと競っていた米インテルは供給量を増やして市場支配力を高めるため、他社に技術を供与して互換品を生産させる契約を結ぶようになった。AMDとは76年と82年に2種の契約を締結したことで、AMDはインテル製品の互換品を生産し始めた。

インテルと訴訟合戦

 インテルは84年までに自社製品とAMD製互換品の競合を問題視するようになり、AMDと協議して契約を変更。しかし、87年には契約の終了を同社に通告するに至った。その後、両社の訴訟合戦が続いて泥沼化したが、95年に一連の訴訟を包括的に終わらせる和解が成立。AMDは「x86」と呼ばれるインテルのCPUの互換品を引き続き製造できることとなった。

 しかし、AMDの顧客はそれまでの間、訴訟の巻き添えを受けるのを懸念して同社から離れ、業績は大きな打撃を受けた。99年、和解に基づいて独自設計のx86互換品「アスロン」を市場投入し、インテル製品より価格を下げることで一定の支持を得て生き残りを図った。

 次の危機は2011年、満を持してCPUの新製品「FX」を発表したが、性能が劣ると不評だった。インテルに市場シェアを奪われ、12~16年のほぼ毎年、営業赤字を計上する事態に陥った。窮地を救ったのは、06年にカナダのATIテクノロジーを買収したことで手中に収めたGPUだ。

TSMCに生産委託

 苦しい時期が続いたが、AMDは12年ごろにCPUの基本設計をゼロベースで見直し、巻き返しを狙った。米IBMなどを経て14年に就任したリサ・スー(蘇姿丰)CEOは、インテルが回路線幅の微細化に手こずるのをチャンスととらえ、ハイエンド品に狙いを定めて17年にパソコン向けの高性能CPU「ライゼン」など高性能で値ごろな製品を次々に開発した。AMDが性能面でインテルに勝るとも劣らないCPUを市場投入できたのは、半導体の設計開発…

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