自民の裏金事件は第二幕へ? 「使途」にも注目する特捜部 与良正男
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お盆休みが終わり、9月の自民党総裁選に向けた動きが本格化する。
ただし、「次」に向かう前に忘れてはならない話がある。「政治とカネ」、いや「自民党とカネ」の問題は決して終わっていないということだ。
東京地検特捜部は7月18日、堀井学衆院議員(比例北海道ブロック)が、選挙区内の有権者に秘書を通じて香典を配った公職選挙法違反容疑で、事務所などを家宅捜索した。
続いて30日には、広瀬めぐみ参院議員(岩手選挙区)が公設秘書の給与を国からだまし取っていた詐欺の疑いで関係先を捜索した。特捜部の厳しい姿勢に驚く自民党関係者は少なくなかった。
まず、堀井議員の事件をおさらいしておこう。
公選法は、選挙区内での香典は本人が葬儀に参列して渡す以外には禁じている。制限するのは、政治家同士のサービス合戦を防ぐためだけではない。「票をカネで買う」行為につながるからだ。
この規定は「公選法のイロハのイ」だといっていい。
2021年、自民党の菅原一秀元経済産業相が、香典や故人の枕元に飾る枕花などを提供していた事件で摘発されて、罰金40万円、公民権停止3年の略式命令を受けたのは記憶に新しい。
堀井議員はそれを知らなかったとでもいうのだろうか。秘書らに対して葬儀に持参させる香典の金額などを自ら無料通信アプリ「LINE」で細かく指示していたというから驚く。
何のため国会議員に?
一方、広瀬議員は22年12月から昨年8月にかけて公設第2秘書として届けていた女性に対し、勤務の実態がないにもかかわらず、国から支払われる秘書給与数百万円をだまし取っていた疑いがもたれている。
「秘書給与詐取」も過去に何度も摘発されてきた事件である。
広瀬議員は昨年、自民党女性局のフランス研修に参加。ネット交流サービス(SNS)に本人が投稿したパリ・エッフェル塔前での記念写真が「まるで観光旅行だ」と批判を浴びた。加えて今年2月には外国人男性との不倫疑惑が報じられ、謝罪している。
一体、何をするために国会議員になったのだろう。あきれている人は多いに違いない。堀井、広瀬両議員は自民党を離党したとはいうものの、それで2人を公認候補に選んだ党の責任が消えるわけではない。
実は自民党が戦々恐々としているのは堀井議員の香典事件の方だという。
派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、堀井議員は所属していた安倍派から2196万円もの裏金を受けていた。
事件ではこれまで現職国会議員3人が政治資金規正法違反(政治資金収支報告書への不記載)容疑で逮捕されている。だが、堀井議員の受領額は逮捕者を除いて5番目に多いにもかかわらず、摘発は見送られてきた。
今回、特捜部はこの裏金事件を調べる過程で、堀井議員の「違法香典」を把握したとみられる。注目すべきはその点だ。
この裏金が違法香典の原資になっていたのではないか──。当然のように、今後の捜査ではこの…
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週刊エコノミスト
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