台湾当局の“格差解消”主張に疑義 井上雄介
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台湾当局が2024年4月に発表した所得格差に関する統計データを巡って、論争が起こっている。当局は住民の所得水準を一定に区分して公表しており、所得が最上位だった世帯の平均所得は5133万台湾ドル(約2億3300万円)だったのに対し、最下位の世帯は77万台湾ドル(約350万円)で格差は約66倍に及ぶ。ただ、当局は所得格差の度合いを表す「ジニ係数」が低いことを根拠に、所得再分配で格差は是正されているとする。
これに異を唱えるのが、元政府高官で経済学者の林祖嘉氏だ。林氏は、1985年時点では所得格差は4倍程度だったが、「失策」によって急ピッチに拡大したと主張している。その一つとして、富裕層が所有する資産が実際より過小評価されていると指摘している。台湾人の資産の6割は不動産とみられ、実際の市場価格で計算し直せば格差はさらに広がる。台北市中心部では住宅価格が30年間で15倍に値上がりした。
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週刊エコノミスト
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