ネット銀行トップに聞く「アプリ自社開発で利便性追求 住宅ローン傾斜には違和感」永井啓之・楽天銀行社長
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ながい・ひろゆき 1964年福岡県出身。87年東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2008年楽天(現楽天グループ)入社。09年楽天KC(現楽天カード)出向常務、13年楽天銀行副社長などを経て、14年社長就任。59歳。
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── 2024年3月期は昨年4月に東証プライム市場に上場して以降、初の決算となり、純利益344億円を計上した。総資産も13兆円を超え、7月には口座数1600万口座を突破した。
■上場時に発表した27年3月期までの「中長期ビジョン」に沿って順調に進捗(しんちょく)している。1600万口座は大変ありがたい。一方、楽天会員は1億人超いるため、我々の口座を持っていない楽天会員もたくさんいる。こうした会員に我々のサービスの便利さを伝えることで、もっと口座数を増やしていける。ネット銀行では高金利の定期預金で調達することが一般的だが、我々は9割以上が普通預金で、利用者に便利さを感じてもらえているからだ。
── 便利さとは具体的には?
■我々が一生懸命努力しているのは、利用者がスマートフォンで操作する時、感覚的に操作しやすいアプリを作ることだ。他のほぼすべての銀行はそうしたアプリの開発を外部のシステム会社に委託しているが、我々は利用者が使いやすいアプリを自社開発している。親会社の楽天グループがIT企業であるノウハウを銀行業にどう適用するか、日々模索している。
一つのアプリですべての銀行取引ができる便利さは、給与振込口座や電気、携帯電話料金、クレジットカード決済など生活に密着した振替口座の獲得に結び付いている。我々としては生活のために楽天銀行を使おうと思ってもらいたい。他のネット銀行は、住宅ローンなど特定のサービスに絞って…
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週刊エコノミスト
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