教養・歴史 書評

70年代の自民党内にあった政治集団はなぜ挫折したのか 井上寿一

 自由民主党の総裁選挙は、9人の候補者によって競われた。メディアは選挙戦を詳細に追った。同じ政党に所属する候補者とは思えないほど、基本的な考え方や政策構想に違いがあった。密室政治ではなく、政策論争を通して、選挙で決まる。総裁は民主的なプロセスを経て選ばれる。「政治とカネ」の問題で国民世論の強い批判を受けながらも、このような選出過程は、自民党への評価を好転させるかもしれない。

 北岡伸一著『自民党 政権党の38年』(中公文庫、1026円)によれば、自民党の歴史は保守政党が包括政党化する歴史である。それゆえ自民党の政治家は多様なのだろう。

残り681文字(全文950文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月15日・22日合併号

歴史に学ぶ世界経済第1部 マクロ、国際社会編18 世界を待ち受ける「低成長」 公的債務の増大が下押し■安藤大介21 中央銀行 “ポスト非伝統的金融政策”へ移行 低インフレ下の物価安定に苦慮 ■田中 隆之24 インフレ 国民の不満招く「コスト上昇型」 デフレ転換も好循環遠い日本■井堀利宏26 通商秩序 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事