シャークニンジャ 高成長する米小型家電メーカー 児玉万里子
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SharkNinja シャークは掃除機やファン ニンジャはキッチン家電/131
シャークニンジャは、米マサチューセッツ州に本社を置く小型家電メーカーで、1994年にカナダのモントリオールで、ユーロ・プロ・オペレーティング社として設立された。長年家業としてミシンなどを手掛けていた一家のマーク・ローゼンツワイク氏が、スチーム掃除機や縦型掃除機を開発して新分野に踏み出したのがきっかけだ。
2003年に本社を米マサチューセッツ州に移転。07年に掃除機の「シャーク」ブランド、09年にキッチン家電の「ニンジャ」ブランドを立ち上げた。二つのブランドの知名度が上がったことを背景に、15年に社名をシャークニンジャに変更している。
シャークニンジャは17年9月に中国・杭州市に拠点を置く投資会社JSグローバル・ライフスタイルに買収され、その子会社となった。そして23年7月に親会社からスピンオフ(分離独立)し、株式をニューヨーク証券取引所に上場。スピンオフ後もJSグローバルの最高経営責任者(CEO)である王旭寧氏が株式の50.5%(24年3月時点)を保有している。
シャークニンジャは、自社で製品を企画・デザインし、品質を管理し、販売活動を展開しているが、製造は手掛けていない。製造は中国の契約先企業に委ね、一部製品は東南アジアでも製造している。製品は小型の家庭電気製品で、「シャーク」ブランドでは掃除機、ヘアケア機器、空気清浄機・ファンなど、「ニンジャ」ブランドではキッチン関連のブレンダー、フードプロセッサーなどがある。23年の二つのプランドの売上高はほぼ同額だった。
同社は機能性の高さや操作のしやすさ、革新性などを追求して製品を開発しており、同社の資料によると、掃除機や小型キッチン家電のシェアは高いようだ。例えば、23年の同社の縦型掃除機の米国内シェアは45%。ロボット掃除機は32%、ブレンダーは42%で、ここ3年間でシェアは上昇しており、英国でも、掃除機は30%、揚げ物なべ60%となっている。
現在、製品販売先は32カ国に上り、14年には英国で本格的に販売を開始し、18年は日本にも進出した。売り上げは北米が71%と最も大きく、北米以外では23年に欧州売り上げが急増し、全体の25%まで増えている。
年率20%で売り上げ増
シャークニンジャの売上高はこれまで高い伸びを見せている。08年3月期から現在までの16年間の売上高成長率は、年率平均20%に達している。
企業が売り上げを伸ばす要因には、自社内の経営資源を活用した成長と、他社の経営資源を買収して取り込んだ成長とがあるが、高い成長率の企業は…
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週刊エコノミスト
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