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投資・運用 株式市場が注目!海外企業

プロクター・アンド・ギャンブル 世界最大手の日用品メーカー 永井知美

ブランド削減で収益は改善 Bloomberg
ブランド削減で収益は改善 Bloomberg

The Procter&Gamble Company 68年連続増配/130

 世界最大の日用品メーカーである米プロクター・アンド・ギャンブル(以下P&G)は、180カ国以上で事業を展開し、顧客は約50億人といわれる。乳幼児用紙おむつ「パンパース」や衣料用洗剤「アリエール」、台所用洗剤「ジョイ」などの商品で知られる。

 日用品は需要が安定している一方で競争が厳しく、常に豊富な品ぞろえや目新しさが求められる過酷な業界だ。インターネット通販の広がりや中国など新興国メーカーの台頭、消費者の低価格志向などにより、P&Gも一時業績が伸び悩んだが、2014年以降取り組んできた事業構造改革により、業績は回復基調にある。

 株主還元重視の姿勢にも注目が集まっている。同社は1837年創業以来、優れた現金創出力を背景に、過去134年間、株主への配当支払いを欠かしたことがない。24年6月期まで68年連続増配という記録も打ち立てており、25年以上連続増配、時価総額30億ドル以上が要件の「S&P500配当貴族指数」の構成銘柄でもある。

24年6月期の売上高構成比は、「ファブリック&ホームケア(洗剤など)」36%、「赤ちゃん・女性向け製品(紙おむつ・生理用品など)」24%、「ビューティー(スキンケア製品など)」が18%、「ヘルスケア(オーラル製品など)」が14%、「グルーミング(シェーバーなど)」が8%。地域別売上高構成比は、北米52%、欧州22%。世界最大の小売企業の米ウォルマート向けが約16%を占めており、安定的な販売先を確保している。

 P&Gは1837年、ろうそく業者のウィリアム・プロクターと石けん業者のジェームズ・ギャンブルが、石けん・ろうそくメーカーとして共同で設立した会社だ。南北戦争で北軍に石けんとろうそくを供給したことで事業が拡大。以後、“水に浮かぶ”「アイボリー」石けん(1879年発売)や、合成洗剤、フッ化物配合歯磨き粉、紙おむつ「パンパース(1961年発売)」、消臭剤「ファブリーズ(1998年発売)」など、ヒット商品を次々と発売している。同社の高い商品開発力の背景には、現在では当たり前になっている市場調査にいち早く取り組んだことがある。企業として世界で初めて市場調査を実施(1924年)したのは、同社とされている。近年は外部企業・研究機関などとのオープンイノベーションにも取り組んでおり、「Connect+Develop」というプログラムを通じて提案を受け付け、これにより「効果的に歯垢(しこう)を除去できる歯ブラシ」などのヒット商品を…

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