《東京市場》トランプ効果の賞味期限は短い? 芳賀沼千里
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米大統領選でトランプ氏が勝利し、共和党が上院選で過半数を確保した。下院も制すれば、共和党は行政府と立法府を握る。法人税引き上げ懸念と不透明感の後退から日米株価は上昇したが、前回2016年の経験に基づく株高予想には要注意だ。
法人税引き下げ、関税引き上げ、不法移民の国外追放、金融機関の規制緩和などを掲げるトランプ氏の政策は前回と似ているが、効果は異なるとみる。前回、法人税率は35%から21%に大幅に引き下げられたが、今回は21%から15%と比較的小幅な引き下げで、大きな景気浮揚効果は期待しにくい。財政赤字拡大が懸念され、長期金利が上昇すれば、景気に悪影響を与えるリスクがある。
関税は早期に引き上げられ、移民規制が強化されると見込まれている。これらの政策はインフレ要因になる。前回はデフレ圧力が残る環境だったが、足元で米国が直面する問題はインフレ圧力である。輸入価格が上昇して雇用情勢が逼迫(ひっぱく)する場合、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は制約を受ける。関税引き上げは家計の負担を増やし、増税と同じ効果を持つ。
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週刊エコノミスト
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