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資源・エネルギー 電力インフラ大投資

米国で暴走寸前の電力需要 当面の選択肢は原発だけ 岩田太郎

カリフォルニア州ロデオに設置された太陽光パネル。同州は再生可能エネルギーの導入が全米で最も進んでいる(2024年7月)(Bloomberg)
カリフォルニア州ロデオに設置された太陽光パネル。同州は再生可能エネルギーの導入が全米で最も進んでいる(2024年7月)(Bloomberg)

 再生可能エネルギーの導入拡大が続く米国では、データセンターによる電力需要増大を契機に「原発復活」の流れが加速している。

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 米エネルギー情報局(EIA)によると、2023年現在の米国の電源構成は化石燃料60%、再生可能エネルギー21%、原子力19%が占めている。特に全米で最も再エネ発電が進む地域の一つであるカリフォルニア州では、再エネの割合が22年現在で32%と、3分の1近くに達している。再エネとともに電気をためる能力も進んでいる。19年に770メガワットだった同州の蓄電容量は、今年10月時点で1.3万メガワットと、5年間で17倍弱に増加している。

 しかし肝心の電気代は大幅に上昇している。EIAによると、24年の家庭用電気料金(全米平均)は1キロワット時当たり16.59セント。バイデン大統領が就任した21年1月以降、大幅に増加している(図)。特に、加州では08年を基準とした電気代が23年現在で全米平均と比較して3倍も値上がりし、全米で最も高額とされる。

 太陽光や風力などの再エネは当初、「安価で効率的で、電気代を下げる」との触れ込みで導入された。加州の電気料金高騰は山火事の頻発による対策費の増大や、地元電力企業の放漫経営などの要因もあるが、地元紙『サンディエゴ・ユニオン・トリビューン』は、加州の電気契約者について「340万人が電気代を滞納し、その総負債額は22億ドル(約3350億円)にも上る」と伝えた(今年3月)。

 バイデン政権は21年2月に地球温暖化対策の国際的な枠組みとなるパリ協定に復帰し、22年にはインフレ抑制法(IRA)を成立させ、再エネ分野の税優遇を進めている。一方で、住民の間には「再エネが増えるほど電気代が上がる」との不満がたまる。

洋上風力の中断続々

 東海岸のニュージャージーやニューヨーク、マサチューセッツなどの各州では、再エネの主軸である洋上風力発電がインフレによる建設・運用コストの増大や、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げによる金利負担の膨張で事業継続が困難となり、キャンセルが相次いだ。風力発電計画の撤退が伝えられるたびに、往年の名作にちなんで「不採算で風と共に去りぬ」などと皮肉られた。

 中止された洋上風力発電プロジェクトのいくつかは再開されるが、州政府などの補助金で損失が最小限に抑えられる仕組みを利用しており、実質上は納税者の光熱費負担が重くなる。ニュージャージー州の家庭用電気料金は23年に最大6.9%値上げされたのに加えて、6月にはさらに最大8.6%引き上げられた。

 米国では、日本と同様にアマゾンやグーグル、マイクロソフトといった米巨大IT企業が各地で大規模なデータセンター(DC)の新設を進めている。米エネルギー調査企業のウッド・マッケンジーの予測によると、DC関連の電力需要は30年まで毎年10~20…

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週刊エコノミスト

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