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経済・企業 マグロ資源の危機

インタビュー「那智勝浦のはえ縄マグロ漁を産直で持続可能に」岡本直樹・脇口鮪技術研究所取締役社長

岡本直樹・脇口鮪技術研究所取締役社長

 和歌山県那智勝浦町の勝浦漁港は、1981年に巻き網漁で取ったマグロの水揚げを禁止し、それ以降、はえ縄漁によるマグロを中心に水揚げしている漁港だ。生鮮マグロの水揚げ量で日本一だった時期もあったが、水揚げ量の減少や漁師の収入減、高齢化、後継者不足など問題を抱える。1897(明治30)年から勝浦漁港で水産物卸事業を営むヤマサ脇口水産は、独自の加工プロセスで開発した特殊冷凍の「海桜鮪(かいおうまぐろ)」や生マグロ「もちまぐろ」の産地直販活動に取り組む。同社のグループ会社・脇口鮪技術研究所の岡本直樹社長に話を聞いた。(聞き手=和田肇・編集部)

おかもと・なおき 1975年大阪府出身。2000年に大学卒業後、他業種を経て09年にヤマサ脇口水産関連会社の南紀勝浦鮪販売取締役に就く。22年脇口鮪技術研究所の社長に就任。

── なぜ、巻き網漁で取ったマグロの水揚げをさせないのか。

■巻き網漁は稚魚を含めて魚を根こそぎ取る漁法だからだ。マグロ資源の持続性に疑問を持たざるを得ない。勝浦漁港は小笠原諸島や沖縄、紀伊半島沖など日本近海のマグロはえ縄漁業が盛んで、1981年から巻き網漁の水揚げを禁止している。

 はえ縄漁は大枠でいうと釣りの漁法なので、比較的大きなマグロもしくは餌を食べる意志を持つマグロが釣れる。比較的小さいマグロや餌を食べる意志を持たないマグロを取るのは難易度が高い。日本全体では特にクロマグロは巻き網漁で取る方が漁獲枠が大きい。経済合理性を考えれば巻き網漁だろうが、水産資源の持続性が危うい。

── メディアでもマグロ資源の持続性を取り上げる機会は増えている。

■持続性のある漁業を研究する大学教授やNGO(非政府組織)関係者が、水産資源管理の重要性を指摘するのはありがたい。だが、現場の漁師の実情はあまりご存じないのではないか。収入の低さや漁師の高齢化といった課…

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