そこにいるだけでいい 猫と人間の「純粋な関係」 高部知子
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先日、生まれて初めて「猫カフェ」なるものに行った。わざわざ訪ねたのではなく、たまたま入った喫茶店の2階が猫カフェだった。せっかくなので猫のモフモフに癒やされたいと思ったのだが、この猫たち、おやつをくれない人に見向きもしない。入り口の店員さんに「ちょっと猫ちゃんたち太り過ぎていまして、特に首輪をしている猫ちゃんにはあげないでください。おやつ禁止の子たちなので」って言われちゃうと…ね。ところが私の足元には首輪をした猫ばかり集まってくるんだもの、ポテポテお腹の猫たち同様ちょっと苦しい気分になってカフェを出た。
よく「犬派」「猫派」などと分けられるが、この好みにはどういう差があるのだろう。そこで『猫社会学、はじめます』(赤川学編、筑摩書房、1980円)。編者は猫好きが高じて「猫と人とのさまざまな関係を言語化するため」この猫社会学という分野を提唱し始めたという東京大学に勤める社会学の先生。本書では5人の研究者──ペットやマンガ、メディアを研究する社会学者や精神科医などがそれぞれの立場から猫について考察を述…
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週刊エコノミスト
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