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日銀苦渋の政策修正 長期金利上昇の許容変動幅を拡大 20年夏まで「利上げ」なしを示唆=白川浩道
日銀は7月31日開催の金融政策決定会合で、長期国債購入額の弾力化や市場長期金利の許容変動幅の拡大、将来の金融政策を予告する「フォワードガイダンス」の導入などを決めた。こうした金融政策の修正は整合性が取れており、妥当といっていい。
政策修正の起点になったのは、物価見通しの下方修正だ。日銀は同日公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2020年度の消費者物価(消費増税の影響を除いた中央値)見通しを1・8%から1・6%に再度引き下げ、物価安定目標2%の達成を半ばあきらめる姿勢を強めた。このため日銀には量的緩和(長期国債購入を柱にしたマネタリーベース〈通貨供給量〉拡大政策)維持の可能性をいかに高めるか、という従前からの政策課題が一段と重くのしかかった。日銀は、消費者物価上昇率が2%を安定的に超えるまでマネタリーベースの拡大を続けるという約束を表明しているからだ。
これに対する日銀の答えはシンプルだった。長期国債買い入れオペ(公開市場操作)の弾力化である。ただし、オペの弾力化はあくまで建前で、実態としては買い入れ額の早期の大幅な減額を視野に入れたということであろう。消費者物価がなかなか上昇しないとの見通しに立てば、マネタリーベースあるいは長期国債保有残高の拡大を少なくとも今後3~4年は続けざるを得ない。「長期国債保有残高の増加ペース(現状は前年比40兆~4…
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週刊エコノミスト
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