N.Y. 公営住宅の鉛汚染 対策後手で市長は苦境=冷泉彰彦
有料記事
ニューヨーク市は8月30日、公営住宅の内装に使われた塗料に含まれる鉛が原因で、児童1160人から基準値を超える鉛が検出されたと発表した。同市では、神経障害を起こす可能性がある鉛の汚染が問題となっている。市は全米に先立ち、1960年に鉛の使用を禁止したが、被害が出た公営住宅はそれより前に建設されたものだった。鉛汚染は塗料そのものだけではなく、鉛を含んだ塗料を除去する際、高濃度の鉛を含んだ粉じんを拡散して被害を拡大させたケースもあった。
2014年に就任したデブラシオ市長は、公営住宅の鉛汚染調査と改修を重点政策の一つとしてきた。改修の対象は、低所得者向けの補助金付き公営住宅が多いとみられ、地元紙などの報道によると、全ての建物を無害化する改修工事には、320億ドル(約3兆5000億円)と巨額な資金が必要だという。また被害者が市に損害賠償請求の集団訴訟を起こす可能性もあり、敗訴なら最低でも数十億ドル(数千億円)の賠償が必要と見込まれ…
残り193文字(全文612文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める