週刊エコノミスト Onlineワイドインタビュー問答有用

「ウナギ産卵の生態を解明し完全養殖につなげたい」 塚本勝己=ウナギ博士・日本大学生物資源科学部教授 問答有用/716 

「ニホンウナギは東アジア全域の共有資源。10年以内に完全養殖のめどを立てたい」 撮影=蘆田剛
「ニホンウナギは東アジア全域の共有資源。10年以内に完全養殖のめどを立てたい」 撮影=蘆田剛

ウナギは和食の文化。だが、養殖ウナギの種苗である天然シラスウナギは減少の一途をたどり、2014年にニホンウナギは絶滅危惧種に指定された。“ウナギ博士”こと塚本勝巳さんは絶滅から救うべく、40年余りウナギの生態研究を続けてきた。

(聞き手=冨安京子・ジャーナリスト)

「産卵の生態を解明し完全養殖につなげたい」

「ウナギの謎は何十年やってもなかなか解けない。だからやりがいを感じます」

── 日本人ほどのウナギ好きは世界にいません。

塚本 私も大好きですよ。縄文時代の貝塚からはウナギの骨が出てくるし、万葉集には大伴家持がウナギは夏やせにいいと歌っている。江戸時代は最初、ぶつ切りにして焼き、しょうゆや山椒(さんしょう)みそをつけた庶民のファストフードでした。ウナギがいなくなれば日本の食文化のともしびが一つ消える。それでは私たちの研究の意義も半減してしまいます。

残り4879文字(全文5255文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事