マーケット・金融特集

ドルに牙をむく「パンダ金貨」 上海“黄金”取引所の野望=田代秀敏 新冷戦とドル・原油・金

上場されたパンダ金貨は人気の母子一緒の絵柄で、高値で取引される(いずれも中国人民銀行サイトより)
上場されたパンダ金貨は人気の母子一緒の絵柄で、高値で取引される(いずれも中国人民銀行サイトより)

 中国人民銀行(中央銀行)が発行する「パンダ金貨(熊猫金幣)」が9月12日、上海黄金取引所(上海黄金交易所)に上場された。この動きの裏には、金市場をてこに人民元の国際化を加速させ、さらには上海先物取引所とも連携し、最終的には米国の「通貨覇権」を崩すという中国の戦略が見え隠れする。

「一帯一路」戦略に貢献

 上海黄金取引所は2002年10月に正式運用を開始し、それを機に人民銀行が担っていた中国国内での金価格の決定権は市場に移った。現在は金・銀・プラチナなどの貴金属を扱い、その取引量は07年以来10年連続で世界第1位である。14年には外国人投資家も条件付きで取引が可能になった。同取引所の会員は253社(17年末)で、そのうち国内会員184社、国際会員19社である。国内会員は中国全国の生産量の90%、精錬量の95%を占める。機関投資家1万2269社と個人投資家977万人とが取引に自由参加する。

 一方、パンダ金貨は、人民銀行が1982年から毎年10月に発行する純度99.9%の記念コインである。人民銀行は「パンダ金貨は中華人民共和国の法定貨幣である」としている。実際、12年に中国の行政府である国務院は、パンダ金貨を「付加価値税(増値税)が免除される唯一の実物黄金投資商品」であると定めた。

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週刊エコノミスト

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