キャッシュレス社会への鍵は規格統一だ=渡辺誠
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EC大手、決済基盤構築でも強い影響力
キャッシュレス先進国である筆者の住むオランダでは、日常のほとんどの取引が、銀行口座からじかに引き落とされるデビットカード決済によって完結できる。最近ではキャッシュを受け取らない店も増えてきた。筆者も海外出張など特別な場合を除いてキャッシュを準備することはほとんどなくなった。デパートでは、小銭入れや札入れの機能をもった財布の売り場は減って、もっと薄型のカードホルダーのようなものの需要が増えている。
キャッシュレス社会の実現へ向けて、日本でもさまざまな取り組みが考えられているが、依然としてキャッシュ利用比率が高いのが現実だ。日本でキャッシュレスが進まない理由として、他国と比べると、ATM(現金自動受払機)の多さや治安の良さ、偽札の少なさなど、キャッシュでの取引コストが低いことが挙げられている。また、タンス預金の多さなど日本に固有の経済行動に根差しているともいわれる。
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週刊エコノミスト
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