経済・企業学者が斬る・視点争点

アメーバ経営、理念が不可欠=澤邉紀生

JALが再上場。通知書を手に笑顔の稲盛和夫名誉会長(中央)=2012年
JALが再上場。通知書を手に笑顔の稲盛和夫名誉会長(中央)=2012年

意欲ある人が活躍できる場を

 日本資本主義の父といわれる渋沢栄一が、「道徳」と「経済」を両立させることができるという信念を持っていたことはよく知られている。経営哲学者の田中一弘氏は「渋沢栄一の道徳経済合一説からみたフィロソフィとアメーバ経営─公益と私利の両立をめぐって」(アメーバ経営学術研究会編『アメーバ経営の進化』収載)で、渋沢の「道徳経済合一説」と京セラのアメーバ経営が根底において共鳴していると指摘する。

 田中氏によれば、渋沢の考え方とアメーバ経営は、「道徳と経済、全体の利益といった、一見矛盾しそうな要素が両立するという考え方」において共鳴している。道徳なくして経済なく、経済なくして道徳なしである。この点では、経済学の祖であるアダム・スミスとも共通する。

残り2639文字(全文2971文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事