週刊エコノミスト Online世界経済総予測2019

原油 地政学リスクが上昇圧力 先物曲線が示唆する割安感=岩瀬昇

原油相場には供給過剰懸念がくすぶる(米ルイジアナ州の油田)
原油相場には供給過剰懸念がくすぶる(米ルイジアナ州の油田)

 米通信社ブルームバーグは2018年11月18日、「石油価格は3人の男に支配されている」と題する記事を報じた。10月初めに4年ぶりの高値となる1バレル=76ドルをつけたニューヨークWTI原油は、12月初旬には50ドル水準へと落ち込んでいるが、ブルームバーグは、これらの価格変動の主因として、かつて価格支配力を保持していた石油輸出国機構(OPEC)の力が落ちた一方、トランプ米大統領、ロシアのプーチン大統領、およびサウジアラビアのムハンマド皇太子の3者の行動や発言が重要となっており、19年以降の価格動向にも大きな影響をもたらすだろう──と指摘した。

 1980年代半ば以降、原油価格を決めてきたのは「市場参加者による将来の需給バランスの見通し」であると筆者は見ている。そして、足元の局面では、トランプ、プーチン、ムハンマドという3者の行動・発言が、市場参加者の需給バランス見通しに大きな影響を与えているのは事実だ。一方で、OPECも完全に力を失ったとは言えず、市場参加者にとって重要な判断材料である。

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