焦点・米長期金利 上昇圧力の陰に潜む「意図せざる」引き締め懸念=斎藤満
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2018年は、米国の長期金利(米10年国債利回り)がさまざまな形で米国企業の株価に大きな影響を与えた。年初に長期金利が3%付近まで上昇し、米国のみならず、世界の株価を不安定化させた。4月には長期金利が3%を大きく超える場面で株価を圧迫してきた。
一方、直近では長期金利の低下が株価の乱高下を引き起こした。18年11月、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長のハト派的な発言を「金融引き締めの終わり」と受け取った市場で安心感が広がり、(1)長期金利の低下→(2)金利高不安の後退→(3)株価の反発──を招いた。
だが、12月初旬に長期金利が3%を割り込み、2年債と5年債の金利が逆転すると、今度は「逆イールド(長短金利の逆転)は、景気後退の前兆」との不安が広がり、株価が急落した(図1)。今後さらに長期金利が低下して短期金利と逆転すれば、景気後退懸念が高まって一段の株価調整につながるリスクがある。米長期金利が、上昇と低下の両方で市場の不安要素になりつつある。
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週刊エコノミスト
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